コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2021年3月24日号より
母集団をいくつかに分けて把握や分析をする際、必ずしもMECEでなくて良いと思っています。
母集団の中には、価値としては微少なゴミのようなデータ、というと少し失礼ですが、信頼性を判断しにくいデータや匿名性の高いデータ、特徴が非常に弱いデータが含まれていることがあります。その際、必ずしも「モレなくダブりなく」きれいに分類する必要はないだろう、というものです。むしろそのような母集団の中で、重要と判断したグループや少数を定義し、適切に分類する方が重要です。
MECEとは、「モレなくダブりなく」対象を網羅的に分類したり、分解、列挙したりするロジカルシンキングの手法の一つです。耳にしたことのある人も、ビジネスで活用している人も多いと思います。
対象や集団の全体そのものが重要であれば、「モレなくダブりなく」という発想は大事です。複雑で重い課題を解決するときに、事象や原因を分解して小さい単位にし、扱いやすくするのは解決の近道の一つです。顧客分析や在庫管理でも、いくつかのグループに分類してABC分析(重点分析)を行ったり、「優良顧客/初期顧客/休眠顧客/離反顧客」のようにRFM分析などで分類してそれぞれに適切な対応を行ったりします。
一方でWebサイトのトラフィックのように、母集団のすべてが重要ではないこともあります。匿名性が高く、「たまたま通りかかっただけ」のようなユーザーデータが大半だったりします。そうするとMECEで「モレなくダブりなく」で分類する必要はなく、重要だと思ういくつかの標本をピックアップできれば良いはずです。計測されている要素から定義し、重要なグループをいくつか適切にセグメントできれば、「その他大勢」をさらに分類しなくても多くは支障がないはずです。
Webサイトであれば、ユーザー分類の一つの軸として例えば「ヘビーユーザーや常連層」「新たに顧客になる可能性が高い層」が適切に分類できれば、そこから外れた「その他大勢」の分類は横に置いても大抵は事足ります。そもそもこの視点では「その他大勢」を実態に即してさらに分類するには正確性を欠き、またそれらに対する施策も打ちにくいはずです。
重要な対象は何か、解決すべき事象は何かを適切に定義して特定すること。分析にかけるリソースが限られていたり、デジタルマーケティングの中での優先順序が高くなかったりすれば、なおさら重要で特徴的なグループに注力すべきです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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