コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2020年12月2日号より
リモートワークが増えてコミュニケーションの様子が以前と異なり、進捗や状況の報告でもあまり掘り下げられず、全体としてプロジェクトが停滞している、というような相談をいただきました。部門間での情報共有や連係面でややサイロ化が起きていたり、進捗共有の方法が新しい様式にマッチしていなかったりするのかもしれません。
いま何を根拠として選択し、どの方向に進むのかを決めるのは、紋切り型の過去データの整理や網羅的なデータ表などからは難しいと感じます。大きなサイズの用紙に細かな指標群を網羅したデータ表を印刷し、頭を突き合わせて議論するというやり方も、かつてなら機能したかもしれません。しかしいまは難しいはずです。
ある程度の方向性を定めたストーリーに沿った、今後どのようなアクションを起こせば良いかを想起させる要素は、定例資料やダッシュボードにはいっそう必要です。
決算の説明会資料をイメージすると良いかもしれません。単なる過去データの推移を整理したものではなく、未来に向けたストーリーを盛り込んでいるからです。
決算の説明会資料は、例えばこのような構成になっています。
・このような戦略で進めてきて
・全体の推移進捗と詳細はこうで
・計画に対しての到達度はこれぐらい
・このカテゴリーが良好で
・新しい取り組みはこれぐらい希望があり
・課題はここで
・次のアクションと
・期待する指標の目標はこれぐらい
・全体としてこれぐらいの成長を目指し
・数年後はこれぐらい
「誰がそれを見るのか」によって差はありますが、定例の資料もダッシュボードも決算資料の構成は参考になるはずです。決算資料もそれこそ知見と労力をかけた取り組みですので、お手軽にはなぞれないかもしれませんが、取り込みたい要素は多いです。
以前のような方法で、網羅的にデータをしばらく眺めたりそれを元にディスカッションしたりすると、新たな発見をすることがあります。しかし、スマートではありませんし時間もかかります。KPIのモニタリングとしては情報が多すぎますし、刺激となるディスカッションの方法をいまは模索する必要があります。
指標はできるだけピックアップして少数にするべきです(私の胸には「One Metric That Matters」のフレーズがいつもあります)。そしてデータはアクションに移しやすいビジュアライズに置き換えるべきです。いまは長時間の議論が難しい環境のところが多いですから、未来に向けたストーリー、思考からアクションに向けたストーリーに沿った表現が、以前にも増して資料やダッシュボードには必要です。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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