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先日の台風19号で氾濫した千曲川による被害と長野県のハザードマップの関係について、印象的な記事がありました。

台風19号、浸水エリアとハザードマップを重ねて見えた2つの事実:日経ビジネス

実際の浸水被害はハザードマップの範囲内でその有効性が実証された一方で、「浸水の深さの被害」と「家屋損害の被害」には差があり、ハザードマップには載っていない要素が影響している、という内容です。河川付近の家屋は浸水被害が「浅かった」にもかかわらず、家屋が流されるなどの家屋損害の被害がひどかった、それは「水の速さ」が要因である、と指摘しています。

水の速さを「水圧」と置き換えれば、海からの津波と原理は同じです。こうやって記事を読むとそのとおりだと思わされるのですが、ハザードマップを見ても「家屋が流される可能性がありそうだ」とはなかなか気がつきません。

皆さんの自宅や勤務地の様々なハザードマップを確認してほしいのですが、内陸の場所になるほど「浸水の深さを示したハザードマップ」が中心かと思います。ハザードマップに「家屋が流される可能性がある地域」が記載されているものは少ないでしょう。

非常に危機的な表現を含む東京都江戸川区のハザードマップでも、あくまで「浸水」が軸の内容です(江戸川区の名誉のために補足すると、非常に充実したハザードマップです)。

今後、このような複数側面の被害の可能性はハザードマップに反映されていくでしょうし、頻繁な情報更新やリアルタイム性もより求められていくでしょう。

私たちも積極的にハザードマップにアクセスし、解釈をアップデートする必要があります。個人としても今回の台風19号はかなり準備して臨んだのですが、「隣町のハザードマップが参考になる」ことにも気がつきました。

自宅は都内の2つの区の境目付近にあるのですが、住所ではない方の区のハザードマップを見て初めて気がつくことがありました。そもそも自宅近くには暗渠になって地面からは見えない川が存在していること、隣の区ではその暗渠の川による浸水被害が大きめに想定されていること、自宅付近の軽めの浸水被害予想はその川の影響によるものだろうこと、等々。

自宅は普段目にする有名な川からは少し離れているので、「あの川が氾濫してもここの浸水被害はそこまでではないだろう」と軽んじていたのですが、付近に暗渠の川があるとなれば話は別です。隣町のハザードマップが役に立つ人は多くいらっしゃるはずです。自宅や勤務先付近のいくつかのハザードマップや情報更新を確認してみてください。

9月や10月の台風により被災された方々、ご家族の方々、お見舞い申し上げます。

コラム担当スタッフ

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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