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曖昧なものは曖昧なままでもいいんじゃないですかね。

もちろん、例えばKPI運用は変わらず重要ですし、数値化や可視化はアクションを誘発しやすいです。シンプルに扱いシンプルに考えることは、一つの正義です。

一方、曖昧な情報はそこで立ち止まりがちです。アクショナブルでもありません。でも、曖昧なものからは解釈の違いが生まれます。多様性。評価しやすい集計データは○×△を付けやすいですけれど、定性データや個々の行動データはそのときどきで評価が変わりますし、人や文化や文脈でも評価が変わります。誰かの意見を聞くことで自分の評価が変わることだってあります。それは数値化しにくいデータの方が顕著です。

「価値」を天秤に加える、というようなものですかね。人や文化や文脈の価値。しばらく寝かせて、後の誰かに評価を委ねた方が良いものもあるかもしれません。

物事は多様化し、複雑化してきました。集計データだけからは有効で意味ある解釈を得にくくなってきています。ダイバーシティーは適切に尊重される流れになり、個々の行動データに再び脚光が当たるようにもなってきました。

曖昧なものは曖昧なままでもいいんじゃないですかね。

重要なことがすべて計測できるわけでもありません。「重要だが計測しにくい/数値化しにくいもの」と「計測できるがあまり重要でないもの」があったとしても、KPI運用が始まると「計測できるがあまり重要でないもの」の方に重きが置かれがちです。人はわかりやすいものに目を向けがちですから。そしてそのうち「重要だが計測できず数値化しにくいもの」は忘れられてしまいます。それを拾っておきたい。定期的に机上に上げるようにしたい。

KPI運用は計測できるもので構成されます。メジャラブルなものが指標だからです。でも、取り組みを支える指針がKPI運用に偏重していれば、危ない側面もあるように思います。曖昧なものを拾って受け止めて、そこから種を見つける取り組みをしないといけません。

重要なことはできるだけ計測しようというのは正しい動きです。でも計測できないからと横に置いておくのではなくて、それはそれで重要なものとして扱っていたい。曖昧なものは曖昧なままでも重要であることに変わりはありませんから。

「空・雨・傘」、「空を見て、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」という意志決定のための思考法がありますが、数値化されたデータでも、結局ばらつきが生まれるじゃないですか。見上げる場所によって空は違うし、同じデータが元でも気象予報士によって予報はまちまちですし、どの降水確率で人が傘を持つかの判断もバラバラですし。

数値化されたものでもこうですから、「数値化しにくいけれど重要で曖昧なデータ」も、同じぐらい重要なレベルで扱っても良いんじゃないですかね。

コラム担当スタッフ

いちしま 泰樹

株式会社真摯
代表取締役
真摯のブログ
makitani.com

外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。

マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。

著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。

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