コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2019年7月24日号より
先日、「成長カテゴリーの前年同月比が突然マイナスになった」というニュースを見かけました。通称「第3のビール」であるビール類の「新ジャンル」カテゴリーが、1年間成長傾向を続けていた中で6月に突然マイナスになったというものです。
第3のビールの成長は幻だった?「6月の変」で業界に衝撃 | ダイヤモンド・オンライン
記事によれば、一部メーカーで除外されていた販売量を昨年6月に集計対象に含めたことが一番の要因なのではないか、とあります。この1年間はその上乗せ分で成長傾向に見えていた、というものです。単純に前年対比だけを眺めていると陥りがちな事象です。
前年対比で数字の推移を追っている際に、気をつけるべき点がいくつかあります。一つはこの「集計対象の変更」「定義の変更」です。
例えばこれまで対象外だったものを集計対象に含めると、それから1年間、前年対比の数字は良好な傾向を示します。また、それ以外の要素の成長傾向がもし一定であれば、2年後から「集計に含めた分の目減り」が生じて前年対比の数字は芳しくなくなります。
気をつける点には「数字に影響を及ぼす大きな外的要因」もあります。例えば今年の10月から予定されている消費税増税などが該当します。消費税増税であればその直前に駆け込み需要が起こり、増税実施後しばらくは消費が停滞するため、前年対比の推移はいびつになります。そしてこちらも同様に、2年後の前年対比の推移にも影響します。
前年対比、いわゆるビジネス用語「昨対比」で把握される数字は、売り上げや利益など経営の成長規模を表す重要な指標、KPIが多いです。そのため、しっかりした企業であれば大きな変更や外部要因の「注釈」は引き継いで、適切に把握されている印象です。今回は各社が持ち寄った数字の合計であり、集計や定義の変更にお構いなく「一人歩きしやすい数字」だったために、突然のマイナスに見えたのかもしれません。
誰もその数字の定義や変更を把握していない中で、社内の各部門から集めた数字で前年対比の推移を追っているのであれば、いつか「突然減った!なぜだ」ということが起こります。数字の管理はあらためて重要だと感じます。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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