コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2018年10月10日号より
疑問を抱くことは、仮説を立てることよりもむずかしいと感じます。特に、普段気にしていないことや習慣化してしまったものに対して、「なぜそうなのだろう」と思う外部刺激がほとんどないからです。
ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏は、受賞の記者会見で「好奇心を持ち続けること、そして簡単に信じないこと」とおっしゃっていて、「疑問を抱くこと」が報道でもフォーカスされました。また、毎回楽しみにしているNHKのバラエティ番組『チコちゃんに叱られる!』も、日常の素朴かつ当たり前すぎて答えられない疑問が、番組の柱です。
普段のプロジェクトや業務でも、疑問が抱かれないために、そのまま維持されたり放置されたりしていることが多くあります。
何か変化があったり明確な課題を抱えていたりすれば、その事象に対してトヨタ式「なぜなぜ5回」のように疑問を抱き、仮説を考えることはむずかしいことではありません。むずかしいのは、ルーティンや定例になったもの、変化のないもの、普段気に留めないものへの疑問でしょう。ルーティンや定例化されたものは実行のタイミングが訪れるので、「これって何のためにやっているんだっけ? 必要なんだっけ?」と振り返る機会があります。一方、普段気に留めないものへの疑問はそういったタイミングがなく、よりむずかしそうです。
仮説立てと疑問は「鶏が先か卵が先か」のケースもありそうです。「普段気に留めていなかった○○機能の利用率に着目し、そこから仮説と施策を繰り返してユーザーアクションの改善につなげられた」、というケースは起こりうるでしょう。抱えている多くの課題を解決する糸口を普段からうっすらと考え続けていると(これは常に仮説を考え続けている状態ですね)、仮説として普段抱くことのなかった事項に着目できた、ということかもしれません。
どうすれば、疑問を抱かれるべき事象に対して、私たちは疑問を抱く「きっかけ」を作れるでしょうか。
3つ考えてみました。「5歳の素朴な疑問や発想」がまずは鍵を握りそうですので、新たなチームメンバーのフレッシュな視点は重要でしょう。先日、大学生と話をする機会がありましたが、経験や思考回路が大きく異なる人たちの言葉には驚きやヒントがとても多いです。加えて、定期的な習慣事項の整理、そして普段から考え続けることを挙げてみました。
習慣化されたものを疑いつつ、課題解決思考を習慣化させるという、やや逆説的で矛盾をはらんだ案になり美しくありませんが、普段の改善サイクルで大きな成果につながっていないのであれば、普段気にかけていないところに課題が潜んでいるからかもしれません。疑問を抱くことにもう少し自分の中でもフォーカスを当ててみようと思います。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
2023/12/06(水)
オンラインセミナー「意思決定のためのデータと分析~CDPとビジネスダッシュボード設計、そしてデータクリーンルーム」|2023/12/6(水)
プライバシー関連の法規制の強化や3rd Party Cookieの廃止等の技術面での規制に伴い計測環境が悪化する中で、データ分析の重要度はま …
2023/11/16(木)
オンラインセミナー「小さな会社の現場ではこんな努力が必要!BtoBウェブマーケとECサイトの売上を伸ばすノウハウ大公開」|2023/11/16(木)
毎年恒例になりつつある小さい会社での成功事例。今回はBtoBウェブマーケとECを社内に定着させる方法です。小さい会社の場合は自分のスキルがど …
2023/10/26(木)
オンラインセミナー「コンテンツマーケティングの本筋の話をしよう~オーディエンスビルディングの思想とその計測・評価法」|2023/10/26(木)
デジタルマーケティングは運用型広告に代表されるように「買ってくれる人」にフォーカスし、その獲得効率にしのぎを削ってきました。 しかし近年、こ …
【コラム】BtoBコンテンツマーケティングで私が大切にしていること
株式会社A-can 白砂 ゆき子はじめまして、株式会社A-can代表取締役、Webディレクション・コンテンツマーケティングが専門の白砂と申します。2023年4月より、編成委 …
【コラム】「切り替え術」自信を無くしたときに回復する一歩について
アナリティクスアソシエーション 大内 範行今回は「切り替え」について考えてみたいと思います。 「切り替え」は、「座右の銘」というほどではありませんが、私が大切にしている概念です。 仕 …
【コラム】サバティカル休暇から考える:AI時代のキャリア再考
株式会社プリンシプル 木田 和廣こんにちは、プリンシプルの木田です。 私事で恐縮ですが、私は2022年10月1日から1年間、仕事から完全に離れていました。 メンタルも、フィ …