コラムバックナンバー
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2018年6月6日号より
2年くらいアナリティクス・デジタルマーケティングから離れている知人との会話の中で、「最新のデジタルマーケティングどうなのよ」と話題に上がりました。
その時は個人的にはそんなに何かが変わった感覚がなかったのですが、直近の動向を整理するいい機会になったので紹介させていただきます。
■変わったもの
1. 施策面における新たなテクノロジーの誕生
特に施策を実行するツールの出現など、技術面での進歩はありました。チャットボット/自動接客/LINEまわりの施策など、これまでできなかったことができるようになったことで、今後はこれらの施策のためのターゲティングなどがアナリティクスに求められるでしょう。
また広告運用の自動化が進んだこともあげられます。逆にその分、運用のための分析が不要になってきたところがあります。
2. データの可視化が進んだ
Tableau、Google Data StudioなどBIツールが台頭。多くの会社がダッシュボードを導入するなど、データの可視化に注目するようになりました。
事業会社側も多くが興味を持っている分野で、マーケティング・アナリティクスの世界全体でのインパクトという意味ではこれが一番大きいかもしれないです。
数多くのツールが出てきていますが、目的・使うシナリオによって最適なツールは異なるので、どれか一つに集約されるということはないでしょう。今後はこれを活用する段階になります。
3. データ連携
一部の会社はwebデータと社内データの連携など、自社の持つデータの連携を進めていきました。いわゆるDMP/CDPの導入がこれにあたります。
データを連携するだけでは目立った動きにはならない、売上にはなりません。しかしデータを使ったマーケティング、ビジネスを進めていく上では必要なステップで、これが済んでいるかどうかが今後差になっていくポイントになると考えています。
4. 計測環境の制約が増えた
ITPやGDPRのようなプライバシーを守る動き、つまりトラッキング自体を妨げる動きが世界的に高まってきました。これに伴い技術的にはcookieベースのトラッキング自体が難しくなってきました。
5~6年前に似たような動きでリファラから自然検索のクエリを取得できなくなり、リファラに依存しないSEOを余儀なくされるようになりました。
今回もそれと同様、過去の分析フレームワークを捨てて新しい分析フレームワークを作っていく必要が出てくるのかもしれない、そんな気がしています(ただそもそもマルチデバイス化の問題もあるので、個人の完璧なトラッキング自体難しいという側面はありましたが)。
今後3と4のインパクトが大きくなってくるでしょう。トラッキングを進める動きと、一方でトラッキングをしにくくする動きという相反する流れです。計測・分析にコストがかかるようになってくるというのは間違いないでしょう。
■変わらなかったもの
1. アナリティクスの技術
予測や識別などを行う個別分野での技術の進歩はなくはないのですが、それがコモディティ化して多くのアナリストが恩恵を受けるようになったかというと、そうではありません。
AIという言葉が騒がれるようになりましたが、主に画像認識や音声識別の世界で活用されているにすぎず、一般的なデータ分析の世界ではAIが騒がれる以前の手法とそんなに変わらない印象を受けます。
GoogleやFacebookはAIを使ってサービスを強化していますが、われわれにとってはあくまで広告という個別施策の世界でAIが活躍しているだけなのです。
2. 従来のマーケティング施策や分析の着眼点
近年流行っていたデジタルの世界でのマーケティングイシュー
– コンテンツマーケティング
– マーケティングオートメーション
– ユーザ単位分析
– マス広告とデジタル広告の関連性
がそんなに進化したかというとそうでもなく、これらの施策とデータとの結びつきにおいても大きな変化はなかったと言えるでしょう。
こうして見ると本質的なことは何も変わっておらず、可視化/ダッシュボードあたりが業界の動きの大きさとしては目立ったかというところです。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
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