コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
メールマガジン2017年3月8日号より 真摯 いちしま泰樹
A/Bテストツールやユーザーの動きを可視化するツールの普及で、短く速いサイクルで改善を進めることが増えてきました。一昔前であれば「分析、改善案、実行や実装、効果測定」の改善のセットが3か月や半年などかかっていたものが、課題も切り分けられ、早ければ1か月で回せます。ツールを使っていると、一種のゲーム的な感覚を覚えます。特にA/Bテストでは「勝ち負け」という表現を皆さんも使うと思いますが、カジュアルでリスクの低いチャレンジで、さらに積み重ねるときっと前進するだろうという安心感もあります。
ここで気をつけておきたいことが2つあります。「刺激的な方向に進みすぎないこと」と「細切れのユーザーアクションだけで判断しすぎないこと」です。
まず1つ目。結果を出そうとするあまり、刺激的な方向に進みすぎないようにすることです。ゲームにしすぎないこと、麻痺しないことでしょうか。
テストを続けていると、刺激的なコピーや目を引く画像、大胆な表現になることがあります。ユーザーの反応が大きく分かれやすいからです。ときに良い数字も出るでしょう。
心掛けたいのが、ゴールに近づいているかは当然ですが、「プロジェクトの目的」「誰にどのようなアクションを期待していたのか」から外れていないかを確認することです。
脇目も振らずにとにかく売上やコンバージョンの増加が目的であれば良いかもしれませんが、「こういう層をぜひ獲得したい」「こういう層は望んでいない」などあるはずです。後者は長期的にはネガティブなコンバージョンです。
また、ブランドとして望ましいクリエイティブや、顧客層に期待されているメッセージから逸脱していないか、といったレギュレーションや自制も求められます。刺激的な表現はあまり積み重ねるべきではありません。
気をつけておきたい2つ目は、細切れのユーザーアクションだけをキーにして判断していないかというものです。
オンラインでのユーザー行動は、細切れの可処分時間を使った行動の積み重ねになってきました。「そのアクションの前にどういった行動をしていたか」「後日そのユーザーはどういった行動をとるだろうか」を仮説立てたり、分析したりという取り組みも必要なはずです。しかし、それらはまとまった工数が必要なことも多く、短く速い改善サイクルにはなかなか組み込まれません。
ひとことで言うと、「刹那的すぎる改善サイクルにするな」でしょうか。
短く速い改善サイクルの中にいるときは、私も「この判断は刹那的すぎないか」と振り返るようにしています。ゴールに近づくことはとても重要ですが、目的からは外れてはいけません。ツールは結果を出しますが、それを咀嚼するのはヒトでありたいです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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