コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
メールマガジン2015年4月22日号より 真摯 いちしま泰樹
「メディアサイトをどう評価するか」という命題を頭の片隅に置きながら、日頃の仕事をしていたりします。ある夜、シャワーを浴びながら「今日もあっという間に終わったなあ、1日24時間だしなあ」とぼんやり思っていたところ、「時間」という軸に改めて「おや?」と何か気が付きました。「おや?」と思ったのは、「1日は誰でも等しく24時間で、限られたものである」という点です。
そういえば数年前に、衣袋さんが雑談の中でその周辺のテーマを何かおっしゃっていたような記憶があるなと思いつつ、ご本人に確認すると、それらしきものが出てきました。
・企業サイトの価値をどう評価するのか
・EPM「のべ接客人分」というサイトの新しい評価指標
・ウェブサイトの価値をEPM(のべ接触人・分)で測る
「EPM:のべ接客人分」という指標は、メディアサイトのように直接売上がたたないWebサイトの評価指標として、日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が2011年に提案した指標です。私はWeb広告研究会に参加しておらず、その後の取り組みを存じ上げませんが、いまも耳にする機会がほとんどないので、大きくは進展していないのかもしれません。
そもそも「サイト滞在時間」という指標は、一般的には精度の低い指標です。以前のa2iのコラムでも、基礎的な話として私が取り上げていました。
上記のコラムを書いたのは2011年ですが、実はいまはこの考えに少し変化があります。まず「その滞在時間中にサイトを閲覧している保証がない」という部分です。スマートフォンでの利用に関して言えば、「ページを表示させたけれども、離席した(閲覧していない)」という状況は、大きく減ったと思います。
加えて、サイト滞在時間やページ滞在時間を、従来の仕組みとは別の方法で、できるだけ精度高く計測するWeb解析ツールもいくつか増えてきました。スクロールのアクションをキーとして計測していると推測しますが、離脱ページであってもページの滞在時間が計測されます。
「EPM」でも結構ですし、「ユーザー単位の月別総滞在時間」といったものでもよいでしょう。メディアサイトの評価の指標として、依然として若干の曖昧さを残しつつも、ある程度妥当な指標を算出できる環境は揃いつつあります。ただし条件が揃えば、ですが。
さらに、いま企業は、サイト以外にもチャネルを積極的にインターネット上に展開しています。例えばソーシャルメディア。例えばスマートフォンのアプリ。TwitterやFacebook、Instagram上でのコンテンツの配信は、その企業やブランドとの「接触」そのものですし、アプリ利用もそうでしょう。
1日24時間、1か月約720時間という限られた時間は、皆等しく平等です。その中で、ユーザーとどれだけ触れる機会があったのか、思い出してくれたのか、アクションなどからどれだけ支持されているかなどを推し量ることは、「時間」をキーのひとつにして、かなり可能になってきたのではないでしょうか。
なにも、企業やブランド間の比較や、経営層への説明を目的としなくてもよいはずです。その企業やブランドを気に入ってくれる人数や量を可視化して、それをいかにして増やすか、という視点でもよいと思います。
さあ、まだこの先は長そうです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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