コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2024年10月16日号より
生成AIの急速な展開にやや戸惑い気味です。普段の業務や調べ物に生成AIを利用する機会が増えましたが、コンテンツ制作やアウトプットの課程が変わった人も多いと思います。これが進化なのか狂乱なのか、あるいは虚無循環なのかはわかりません。しかし今後のコンテンツマーケティングを考えると、なかなかこれは難しい時代を迎えそうだなと感じます。
特にオープンなWebサイトで公開されるコンテンツは、生成AIの学習材料になりやすいです。生成AIがどれほど正確な情報を出力するかはともかく、ユーザーに届くはずのコンテンツが「生成AIにとって都合のいい素材」に留まるといったことは、もう現実に起きているのでしょう。
既視感のあるような平均的なコンテンツを作って検索トラフィックをただ期待しているような「コンテンツマーケティング」であれば、ビジネスに貢献するレベルへ成長させるのは至難の業です。違う軸を組み込まなければいけません。
生成AIが普及していく中でコンテンツマーケティングを機能させるには、一定品質のコンテンツを相当な量と頻度で作り「最近この企業をよく見かけるよね」と思われるか、あるいは誰にも真似できないクオリティと充実した内容で「この企業の発信はいいよね、信頼できるよね」と思われるかの、2つの選択肢が考えられます。
「量と頻度の多さ」あるいは「信頼に足る高いレベルのクオリティと充実度」か。どちらにも共通するのは「ユーザーは企業名を挙げて取り組み全体に対してポジティブに反応している」こと。
「最終的に固有名詞で指名検索されるためには、どのようなコンテンツマーケティングに取り組めばよいか」と考えてもよいのかもしれません。
「最終的に固有名詞で指名検索される」ための取り組みのアイデアを挙げてみます。必ずしもあらゆる企業にとって必要のないものも含みますし、あくまで手法やフォーマットのアイデアです。自分たちのビジネス周辺のものに置き換えていただくとよいと思います。
ユーザーの時間を一定時間占有するコンテンツ
ユーザーとの距離の近いコンテンツ、身近に感じられるコンテンツ
クローズドなコンテンツ
いくつか挙げました。どうすれば自社を想起してもらえるか、信頼に足ると感じてもらえるかは、手法やテクニックに頼るものではありませんが、Webサイト向けテキストコンテンツだけがコンテンツマーケティングでもありません。
こうやってアイデアを挙げると、コンテンツの内容だけでなく、どのようなフォーマットと流通でユーザーに届け、接点を作り、オーディエンスとして関係性を温めていくかを考えなければいけないことに気付くはずです。
ところで、皆さんのコンテンツマーケティングの目的って何でしょうか? いろいろあると思いますが、ユーザーはコンテンツからコンバージョンへ直結するわけではないことを前提に捉えると、「接点を作り関係性を築くこと」「信頼を得ること」に概ね集約されるのではないでしょうか。
前半に書いた、「最近この企業をよく見かけるよね」と「この企業の発信はいいよね、信頼できるよね」とつながってきました。
課題もあります。ユーザーの貴重な可処分時間の中からいかにして自分たちのメッセージを聞いてもらえるようにするかは、年々ハードルが高くなっている印象です。唐突で過度な距離の近さもネガティブな反応になりやすそうです。クローズドなコンテンツはなかなかバズりません。そもそもユーザーにコンテンツを届けるのに苦戦しているところからのスタートかもしれません。
トリガーとなるのはコンテンツのテーマなのか(興味関心を引いているか)、情報流通なのか(届けられているか)、信頼性なのか(聞いてもらえる前提を築けているか)、それらの組み合わせなのか、はたまたそれらの「ニワトリと卵」の関係なのか。
ひとまず言えるのは、「平均的なコンテンツをWebサイトに置き、情報収集目的の検索トラフィックを待つ」という受け身の姿勢ではオーディエンスと関係を築けないということです。生成AIの今後の展開にかかわらず、SEOの今後の展開にかかわらず、オーディエンスと「get in touch」する状況をより強く意識したいです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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