コラムバックナンバー
株式会社イー・エージェンシー 本舩坂 香
発信元:メールマガジン2024年5月29日号より
こんにちは、株式会社イー・エージェンシー シニアコンサルタントの本舩坂(もとふなさか)です。
日頃の業務では、Google アナリティクス 360 のリセラーとして、GA・GTMを使ったデータ計測基盤構築や BigQuery によるデータ統合など、企業のデータ活用支援に携わっています。
過去には a2i でユニバーサルアナリティクス(UA)から GA4 への移行に関するセミナーを担当させていただきました。今回は初めてのコラム執筆となります。よろしくお願いします。
さて。
UA が計測終了してから10か月以上経ち、Webサイトの計測については GA4 を使った分析が進んでいるようです。
しかしアプリの計測については
「まだ手を付けていない…」
「とりあえず計測はしているけれど、まだあまり数字を見ていない…」
「アプリ開発者が Firebase を入れてくれたけれど、よくわからない…」
という方も多いのではないでしょうか?
アプリはWebサイトと比べるとエンジニアが関わる領域が大きく、アクセス解析やマーケティング担当の方には手を付けづらいイメージがあるかと思います。
そこで、GA4 でアプリを計測するというのはどういうことか? を簡単に整理しました。
「アプリの計測には Firebase」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。詳しくない方にとっては、 Firebase ? GA4 ? と混乱しやすいポイントです。
Firebase と GA4 は同じものではありませんが、アプリの計測という点ではほぼ同じことを表していると考えてOKです。
Firebase の中には「プッシュ通知の送信」、「アプリ内メッセージの送信」、「アプリ内の動作や見た目の変更」などいくつかの機能があり、そのうちの「アプリ内の行動分析(Google Analytics for Firebase)」機能が GA4 のアプリ計測部分になります。
「Firebase の SDK を入れる」は「Webサイトに GA4 のタグを設置する」と同じイメージとなります。
UA で計測していた頃は、アプリと Web は別々の方式で計測され、レポートも分断されていました。
GA4 になってからは、アプリも Web も同じ形式で計測され、同じレポートで分析できるようになりました。
同じレポート上で数字を見られるので、例えば Web でもアプリでも商品購入ができるサービスの場合、Web とアプリの購入状況を合算してまとめて見ることができます。
また、サービスの会員情報をもとにした User-ID 計測を行うと、アプリと Web の両方にログインしたユーザーは別デバイスでも同一ユーザーとして判断されます。
つまりGA4は アプリと Web を横断して分析できる プラットフォームなのです。
アプリに Firebase の SDK を入れると「first_open(アプリを初めて起動)」「session_start(セッションの開始)」「screen_view(画面の表示)」といった行動が自動的に収集されます。【※】
これらを元にユーザー数やセッション数も集計されます。
【※】[GA4] 自動収集イベント – アナリティクス ヘルプ
自動収集以外の行動(ボタンのタップやeコマースの行動など)は、アプリ側で個別に計測するための実装が必要です。
計測されたデータは、GA4 のレポート画面上で Web と アプリの区別なく表示されます。
GA4 になって「ページビュー数」ではなく「表示回数」という指標になったのも、「Web のページビュー」と「アプリのスクリーンビュー」をまとめて表すためだと思われます。
アプリも Web と同じレポート形式ですので、アプリのデータも Web と同じ操作で見られます。
もちろん、アプリと Web を区別するディメンション(「プラットフォーム」)も用意されているので、それでフィルタリングすれば特定のデバイスのデータを確認することもできます。
自動で収集される行動があり、レポートも Web と同じように使えると書きましたが、計測上の注意点もあります。
以上のようにいくつか注意点もありますが、GA4 ではアプリの行動データは Web の行動データと同じように見られます。
アプリと Web を分断せずに一つのレポートで一貫して計測することで、複数デバイスに渡るユーザー行動を途切れさせずに計測・分析できるようになります。
まだアプリ計測を始めていない場合は、Webサイトのタグに相当する Firebase SDK を導入することを、アプリ開発者の方と相談してみましょう。
計測はしているけれどデータを見ていない場合は、まずは Web と同じようにユーザー数やセッション数を見るところから始めてみてはいかがでしょうか。
こういった数値の変化を見ることが、あなたのアプリ行動分析の第一歩になれば幸いです。
2005年イー・エージェンシー入社。EC・CMS・モバイルなどシステム系Webサイトのディレクション・プロジェクトマネージャーを長く経験。
Google アナリティクス 360 のサポート業務を経て、2017年からはコンサルタントとして、Google アナリティクス・Google タグマネージャーを用いたデータ計測基盤構築や、BigQueryによるデータ統合など、クライアント企業のデータ活用支援に携わっている。
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