コラムバックナンバー

こんにちは、株式会社イー・エージェンシー シニアコンサルタントの本舩坂(もとふなさか)です。
日頃の業務では、Google アナリティクス 360 のリセラーとして、GA・GTMを使ったデータ計測基盤構築や BigQuery によるデータ統合など、企業のデータ活用支援に携わっています。
過去には a2i でユニバーサルアナリティクス(UA)から GA4 への移行に関するセミナーを担当させていただきました。今回は初めてのコラム執筆となります。よろしくお願いします。

さて。
UA が計測終了してから10か月以上経ち、Webサイトの計測については GA4 を使った分析が進んでいるようです。
しかしアプリの計測については
「まだ手を付けていない…」
「とりあえず計測はしているけれど、まだあまり数字を見ていない…」
「アプリ開発者が Firebase を入れてくれたけれど、よくわからない…」
という方も多いのではないでしょうか?
アプリはWebサイトと比べるとエンジニアが関わる領域が大きく、アクセス解析やマーケティング担当の方には手を付けづらいイメージがあるかと思います。
そこで、GA4 でアプリを計測するというのはどういうことか? を簡単に整理しました。

GA4 と Firebase って何が違うの?

「アプリの計測には Firebase」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。詳しくない方にとっては、 Firebase ? GA4 ? と混乱しやすいポイントです。
Firebase と GA4 は同じものではありませんが、アプリの計測という点ではほぼ同じことを表していると考えてOKです。
Firebase の中には「プッシュ通知の送信」、「アプリ内メッセージの送信」、「アプリ内の動作や見た目の変更」などいくつかの機能があり、そのうちの「アプリ内の行動分析(Google Analytics for Firebase)」機能が GA4 のアプリ計測部分になります。
「Firebase の SDK を入れる」は「Webサイトに GA4 のタグを設置する」と同じイメージとなります。

GA4 のアプリ計測は今までと何が違うの?

UA で計測していた頃は、アプリと Web は別々の方式で計測され、レポートも分断されていました。
GA4 になってからは、アプリも Web も同じ形式で計測され、同じレポートで分析できるようになりました。
同じレポート上で数字を見られるので、例えば Web でもアプリでも商品購入ができるサービスの場合、Web とアプリの購入状況を合算してまとめて見ることができます。
また、サービスの会員情報をもとにした User-ID 計測を行うと、アプリと Web の両方にログインしたユーザーは別デバイスでも同一ユーザーとして判断されます。
つまりGA4は アプリと Web を横断して分析できる プラットフォームなのです。

GA4 でアプリのどんなデータが見られるの?

アプリに Firebase の SDK を入れると「first_open(アプリを初めて起動)」「session_start(セッションの開始)」「screen_view(画面の表示)」といった行動が自動的に収集されます。【※】
これらを元にユーザー数やセッション数も集計されます。

【※】[GA4] 自動収集イベント – アナリティクス ヘルプ

自動収集以外の行動(ボタンのタップやeコマースの行動など)は、アプリ側で個別に計測するための実装が必要です。

計測されたデータは、GA4 のレポート画面上で Web と アプリの区別なく表示されます。
GA4 になって「ページビュー数」ではなく「表示回数」という指標になったのも、「Web のページビュー」と「アプリのスクリーンビュー」をまとめて表すためだと思われます。
アプリも Web と同じレポート形式ですので、アプリのデータも Web と同じ操作で見られます。
もちろん、アプリと Web を区別するディメンション(「プラットフォーム」)も用意されているので、それでフィルタリングすれば特定のデバイスのデータを確認することもできます。

GA4 アプリ計測の注意点

自動で収集される行動があり、レポートも Web と同じように使えると書きましたが、計測上の注意点もあります。

  • アプリと Web のイベント名
    • 同じレポートに表示されるので、アプリと Webで同じ行動は同じイベント名に、異なる行動は別のイベント名になるように計測した方が、分析しやすいです。
  • アプリの流入元計測は複雑
    • Web は 流入のリンクに utm パラメータを付けるだけで流入元の計測ができます。
    • 一方のアプリは、アプリストアを経由するのか、広告を経由するのか、ユニバーサルリンク/アプリリンク等を利用するのか、など、流入経路によって計測できないルートがあったり、アプリで特別な実装が必要になったりします。
    • アプリ開発者など詳しい方と相談しながら計測することをおすすめします。
  • アプリ内 Webview の計測
    • アプリ内 Webview は何も設定しないと、通常のWebサイトとして、ウェブストリーム側で計測されます。
    • アプリ内の一連の行動として計測したい場合は特別な実装が必要になりますので、こちらも詳しい方と相談しながら進めたほうが安心です。

以上のようにいくつか注意点もありますが、GA4 ではアプリの行動データは Web の行動データと同じように見られます。
アプリと Web を分断せずに一つのレポートで一貫して計測することで、複数デバイスに渡るユーザー行動を途切れさせずに計測・分析できるようになります。

まだアプリ計測を始めていない場合は、Webサイトのタグに相当する Firebase SDK を導入することを、アプリ開発者の方と相談してみましょう。
計測はしているけれどデータを見ていない場合は、まずは Web と同じようにユーザー数やセッション数を見るところから始めてみてはいかがでしょうか。

こういった数値の変化を見ることが、あなたのアプリ行動分析の第一歩になれば幸いです。

コラム担当スタッフ

本舩坂 香

株式会社イー・エージェンシー
データ事業本部 データソリューション部 シニアコンサルタント

2005年イー・エージェンシー入社。EC・CMS・モバイルなどシステム系Webサイトのディレクション・プロジェクトマネージャーを長く経験。
Google アナリティクス 360 のサポート業務を経て、2017年からはコンサルタントとして、Google アナリティクス・Google タグマネージャーを用いたデータ計測基盤構築や、BigQueryによるデータ統合など、クライアント企業のデータ活用支援に携わっている。

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