コラムバックナンバー
株式会社ウェブジョブズ 丸山 耕二
発信元:メールマガジン2024年1月24日号より
丸山耕二と申します。
ユニバーサルアナリティクスのバックアップツール「Analytics Backup by QA」や、日本製のアクセス解析ツール「QA ZERO」などを開発しています。
今回は、私達が日本製のアクセス解析ツールを作り続ける理由についてお話ししたいと思います。
私は企業内のデータ活用を推進するコンサルタントでもあります。いつも感じるのは、皆さんが多忙であるということです。
多くの方々が「データ分析に基づく提案」を日々の業務に追加で求められています。
これは良いことですが、一方でデータ分析には時間がかかることもあり、分析しても当たり前の結果しか出ないこともあります。特に勘所がわからない場合はなおさらです。
そういうわけで、プロフェッショナルな私たちが報酬を頂けているのですが、我々にも無限の時間があるわけではありません。
多くの企業がデータ分析を求めるのは、「素早く証拠を集めて、推測精度を上げてほしい」という理由からです。
既存の環境では「素早さ」が難しい3つの課題が存在します。
私の印象では、GA4は高機能な計測器で、Google広告と融合したデータツールです。
しかし、ウェブ担当者やマーケターが素早く分析を行いたい場合、学習コストが高く、使いこなすのに時間がかかります。
加えて、GA4は頻繁に仕様変更が行われ、数値異常の原因を把握するのに時間がかかることがあります。
本来ツールを使うことが目的ではないのに、ツールの問題に振り回され、時間を浪費していきます。
私の見解では、海外製のビジネスツールは英語ベースであり、日本人にとってはわかりづらいと感じます。
例えば、世界的に有名な日本のIT企業、任天堂やセガのゲームUIは非常に使いやすく、マニュアルも不要です。
これに比べると、アクセス解析ツールのUIはまだ追いついておらず、その使いづらさが利用者に無駄な時間を強いています。
ユーザー心理の推測には、ページ内部の行動データが不可欠です。これはヒートマップやセッションリプレイなどで反映されますが、GA4はこのデータを保有していません。結果、GA4だけではコンバージョンしない理由の推測精度が落ちます。
最近、Microsoft Clarityが登場しましたが、そうすると必ずでてくる質問が「ヒートマップのデータ量はどれくらい必要ですか?」です。
こうなってしまう一番の理由は、GA4やClarityなど、定量と定性データが分散して保存されているからだと考えています。
そもそも各ツールにログインするのが面倒で、データにも一貫性がないため、データの一部を見て判断する感覚が拭い去れず、見落としや誤判断の不安が残ります。
海外製ツール(特に無料のもの)を使う際の問題点は、仕様が不明確でサポートがないことです。
これは見えない時間のコストとなり、例えばSaaS系ツールでは、数値がおかしい時に生データを確認できず、何が正しいかを判断する術もありません。
私のところにくるご相談も「データの正しい使い方を知りたい」というものが多いですし、本来アクセス解析ツールにはサポートがあった方がよいと考えています。
まとめると、多くの人々が忙しい中、データ分析を要求されていますが、分析ツールが不十分で時間がかかり過ぎるという問題があります。
その結果、多くの人がデータの海に放り込まれ、解決できない課題に永久に付き合わされ、データ分析難民になっています。
これを解決するため、日本人が日本人のためにツールを作る必要があると考えましたし、私自身もコンサルティングでこのツールを使用したいと思っています。
プロであっても時間は限られていますので、定型的なデータ処理が短時間で済めばそれが望ましいですし、ログインも一カ所で済む方が良いです。
そう考えると、各ツールに分散されているデータを全て取得する自社解析ツールが解決策です。
テレビの全録のように、全部データ保存してしまえば設定も不要になりますし、自社解析であればデータ容量の問題もクリアしやすいです。
さらに、今年に入ってさっそくファーストパーティーデータやCookie規制が業界でも話題になりました。プライバシー対策はGA4やClarityなどのSaaS系プロダクトでは難しいですが、自社解析サーバーなら解決策を提示できます。
QA ZERO
ファーストパーティデータと向き合う時代に私たちがおさえておきたいこと/アユダンテ
最後に、本ソフトウェアを作るきっかけは、ソニーの礎を築いた70代の方とのプライベートな会話でもありました。
その方は海外担当で、当時の日本について多くの貴重な話をしてくださいましたが、現在の「Made in Japan」が勢いを失っていることに、先人たちに対して申し訳ないと思うようになりました。日本人のパスポートが信頼されているのは、厳しい状況の中で険しい谷間に橋をかけるなど、現地の人々に感謝されるような行動を正々堂々と行ってきたからだそうです。
幸い、データに対して悪いことをしないというのは、先人が培ってくれた日本人のイメージに沿っています。
先人たちの遺産を受け継ぎ、次世代に伝えるために、一人でも多くのデータ分析に苦しむ人々を救うことを目指し、日本人が磨き上げてきたアクセス解析ツールが世界で飛躍することを夢見て、開発を続けていきたいと考えています。
1976年6月30日生まれ。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)でシステムエンジニアを経た後、Webコンサルタントとして独立。中小企業向けにデータアナリティクスを基軸としたWebコンサルタント業務や社内教育業務を手掛ける。著名講師によるウェブ担当者通信主催。自社解析サーバーQA
ZERO、WordPress公開プラグイン「QA Analytics」を提供中。
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