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ウェブ行動を分析する際、行動の前後関係を考慮することは重要です。たとえば一人の訪問者が以下のように行動するケースを考えます。

=== 初回訪問 ===
ページ閲覧A
カート
離脱
=== 再訪問 ===
ページ閲覧B
購入
ページ閲覧C

同じページであっても、Aのタイミングで見た場合、Bのタイミングで見た場合、Cのタイミングで見た場合ではそれぞれ意味が異なります。つまりA、B、Cの各タイミングごとに閲覧ページの傾向を見るべきなのです。マイページなどはCの段階で見るので、購入までの行動を議論する際に含まれていてはまずいですよね。

ページごとのページビュー数を見る場合の着眼の深さに違いがあります。

特に条件を限定せずページごとのページビュー数を見る、これだけの人も多いでしょう。
次にデバイス別に見る。スマホのページビュー数上位のページとデスクトップのページビュー数上位のページを比較する。そんなのが出てくるでしょう。
少し進むとユーザの種別ごとに見るわけです。コンバージョンしたユーザの閲覧ページとコンバージョンしなかったユーザの閲覧ページを比較する。ユーザセグメントを作って、それどうしを比較します。
見たページをコンバージョン前後で分けて考える必要はありませんか?そこでタイミングが出てきます。しかしこのタイミングまで意識して分析が行われるケース、そんなに多くないのです。

ユーザ×タイミングでの分析

これを可能にするのがログ分析です。

SQLを使えばウィンドウ関数で前後関係を変数化することができます。たとえば累計購入回数を分析の入口となる変数に設定します。その値が0の場合と1以上の場合とで行動を比較する。カートへの商品追加イベントと削除イベントを計測していれば、累計追加数から累計削除数を引くことで現在カートの中に入っている商品数を変数化することもできます。

ログを使わずに分析する場合、タイミング(顧客ステージ)を表すヒット/イベントスコープのカスタムディメンションを設定し、その値別に比較する方法があります。たとえば購入前=0、購入後=1が入るカスタムディメンションを作って、その0と1で行動を比較する。

もっと発展的なものでいえばこんな定義にすることもできますよね。

初回訪問=1
再訪問=2
お問い合わせ後(リード)=3
初回コンタクト済み=4
成約済み=5

Adobe Analyticsを使っていた方は馴染みがあるかもしれません。eVarとpropを分けて、propで比較する考え方です。

ただこの場合はあらかじめ顧客ステージを定義してから計測する必要があります。ステージの定義に修正や新たな発想のステージが追加になると、そのたびにタグを書き換えて再計測し、データが集まるのを待ってから分析する必要があります。そうしているうちに別のプロモーションが始まり、データの傾向が変わるかもしれません。そうなるとどうしようもありません。

ログ分析の場合はこのカスタムディメンションの算出式の条件を変えれば、つまりクエリを書き換えるだけで同じ期間をさかのぼって再集計可能です。Eコマース分析で商品を変えて同期間のデータに対して分析したい場合、カテゴリを変えて分析をしたい場合など、よくありますよね。それらを商品別に変数化していたらカスタムディメンションの枠数が足りません。

というわけで、最近分析をする場合でもアナリティクスツールの画面を使うことがほとんどなくなってしまいました(設定で使うだけ)。

せっかくGA4でログ分析を手軽にできるようになったのだから、こういった発想で分析のアプローチを広げてみませんか?

コラム担当スタッフ

柳井 隆道

Option合同会社
代表社員
マーケティングテクノロジスト
marketechlabo

東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。

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