a2iコラム
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2022年1月26日号より
競馬における「データ」と言われると真っ当なものもあれば怪しいものも多い。データと言われても前提条件がおかしかったりばらつきが大きかったりするのでそのまま信用できないのです。きちんとした理論があるデータであればある程度信用できるのですが、本当に怪しいだけのことを言う輩も多い世界なのです。
先日こんな競馬の解説動画を見つけました。
「データを見ればわかります!勉強不足ですよ」教えて!福永祐一先生 チャンピオンズカップを特別分析
福永祐一という現役の騎手がレースの展開を予想・解説するものなのですが、そこでこんなことを言っていました。
ミルコ・デムーロという騎手がGIレースで軽い体重の馬に乗ると勝てない。
25:50くらいからになります。
動画のタイトルが「データ」になっているのですが、それまで競馬のデータに対して懐疑的な見方をすることも多かった私にとって、こういう見方をするとデータも説得力を帯びるよなと妙に納得しました。
こういうものは単にデータとしては存在する。ただそれだけ見ても普通の人はたまたまなのかと思うでしょう。それなりにデータの量があって統計的に有意であれば信用する人もいるかもしれません。それでも偏りがある、現状を反映していない(直近3年のデータしかあてにならないはずなのに過去10年のデータを見ていたりとか)ケースもあり、疑わしいです。ある程度競馬を見ている人だと、たしかにデムーロよく出遅れると記憶にあるかもしれません。だからその記憶とデータを結びつけて捉えることで説得力を帯びる。それは一理あります。
この動画の中で福永騎手はこのように説明しています。
ミルコ・デムーロ騎手はスタート直後に何度か落馬して怪我をした経験から馬からスタート時にハミをかける(馬の口につけた手綱を引っ張る)騎乗フォームになっている。その結果馬のフォームが不安定になり、その状態でスタートしてしまう。そのために出遅れることが多い。小さな馬のほうがフォームが不安定になりやすく、体重の軽い馬だと勝てないということなのです。
なるほどしっかりとした理由があり、それがデータに結びついているのだなと思いました。普段あまり競馬のデータを信用できない私なのですが、このような理論の結びついたデータは信用ができるのだと思い知らされました。
プロの目線で事実をとらえ(定性)、それが反映されたデータ(定量)と一緒に提示される。そこでデータの意味が認識され、同時に説得力をもつ。データを使って仕事を進める上で当然のことではありますが、データを見る上で各領域のプロの目線の価値は大きいのだと、まさか競馬の中で再認識させられてしまいました。データのプロだけでもダメで、各領域のプロの目線です。
もちろんAIであれば理由を知る必要はありません。そのようなアプローチで理論は不要でデータだけを使うのもありです。しかしそのアプローチでは膨大なデータ量が必要になるのに加え、意思決定に人間がかかわるとおかしなことになります。意外とそんなデータ量を確保できるケースは多くないですが。
人間がデータを使って意思決定をする世界においては、こういったことは大変重要です。データを使って人に何かを伝える人には再認識してほしいです。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
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