コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2021年2月24日号より
「誰かに嫌われない」「みんなに嫌われない」よりも、「誰かに熱量を持って支持される」ことを意識した方が良いです。
デジタルな領域のビジネスにおいても、八方美人ではなく「誰(ターゲット層)」を意識することになり、求めるアクションも明確になります。そうするとむやみに「全体のユーザー数」「(とりあえず誰でもいいから)コンバージョン」のような「それっぽいKPI」を大きくすることが無意味なことに気付くはずです。
目標となる数字や全体ボリュームの数字を単に大きくするのではなく、「支持される価値を大きくする」「支持されるべく価値を大きくする」「支持してくれる誰かのポジティブなエンゲージメントを大きくする」と捉えるようにすれば、間違った方向には進まないはずです。
新しいGoogle Analytics 4(GA4)でも、一般的だった直帰率や離脱率といった指標が登場しなくなりました。イベント計測をベースにエンゲージメント(関与)を軸とした指標が並びます。従来の「何も行わなかった」の把握は重要ではないというメッセージかもしれません。これからはアクションやエンゲージメント、中でもよりポジティブなものを私たちは重視すべきだと考えます。
ネガティブなアクションを把握すべきではないというわけではありません。サービスであれば、チャーン(解約)などネガティブな要素に注意を払う必要があります。これは「顧客になったユーザーのネガティブな反応、あるいはミスマッチの状況」であり、注意を払わなければいけません。GA4でも、予測指標「離脱する確率(Churn Probability)」が準備されています。これは「過去7日以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後7日以内に操作を行わない可能性」を機械学習で算出するものだそうですが、「顧客化の可能性の把握」であり、「支持されるかどうか」の視点で一歩進んだ指標の印象です。
結局は誰を顧客にしたいかだと思いますが、当初思い描いていた顧客層に響いているか、その層にポジティブなアクションを起こしていただいているかの把握が優先すべきものです。熱量を持って支持されるにはアプローチ側にも熱量が必要になり、そのためには「誰に」「求めるアクション」がより明確に必要です。状況把握や分析でも、「誰かに嫌われていないか」ではなく「望むユーザーのアクション」「ポジティブなアクション」の把握にシフトすべきでしょう。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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