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GoogleのBigQueryとデータポータルは便利だなと、活用しない手はないと改めてみなさんにお伝えしたく、今日は筆を執ります。言葉だけは耳にすることが多いかもしれないBigQueryですが、これはSQLを使える、何でもデータが入った箱です。データポータルはデータを可視化・分析するためのツール(セルフBI)です。

■一般的な分析のフロー

ある程度データを活用する会社の一般的な分析フローは以下のようなものでした。BigQueryなどのデータウェアハウスに溜めておいたデータから分析で使う部分だけSQLを使って抜き出し、それをテーブルやCSVファイルに出力する。そしてそれをTableauなどセルフBIの分析ツールで読み込んで分析する。あるいはExcelやGoogle スプレッドシートに出力してピボットテーブルを作って分析する。

つまり手順は前半のクエリを書くところと後半の分析に分かれます。最近「分析者がSQLを書けるといい」と言われるのはこれらを一気通貫でできるようになるからで、確かにそれは有意義なことではあるのですが、実際には難しいと私は考えています(こちらも参照 「データ分析にプログラミングは必要なのか」

DMPの世界でもSQLを書けるエンジニアはデータマート(分析しやすい変数・形式に加工されたテーブル)を作る、分析者はデータマートを使って分析するというのが一般的なフローになっています。

■BigQueryとデータポータルを組み合わせると

BigQueryではウェブの画面でクエリを実行した結果をボタン一つでそのままデータポータルで表示できます。既存のテーブルをデータソースにすることも可能ですが、クエリ自体をデータソースにできます。クエリ自体をデータソース化するのと可視化を同時にやってくれます。通常データポータルを使う場合最初にデータソースの設定が必要になりますが、この場合は自動でそれをやってくれるのです。

つまりデータポータルはBigQueryのアウトプットの可視化ツールとして位置づけられます。クエリ自体をデータソースに指定できるので変更も容易で、その後はデータポータルの管理画面だけでクエリのメンテナンスも可能です。

SQLを書ける人がビジネス部門の分析担当者の依頼を受けてクエリを作成する。あとはそれをデータポータルに出力して分析者に共有するだけ。その後は分析者がピボットテーブルやさまざまなチャートを使っていろいろな角度で分析できる。クエリを書く人と分析をする人の役割が分かれていてもシームレスにこの流れを実現できるわけです。これができるようになってからこういった仕事にかかる時間が大幅に短縮されました。

そこでは分析者はデータポータルだけ、セルフBIツールだけ使えればいいのです。

データウェアハウスからわざわざデータマートを設計構築しなくても簡単にこの流れを実現できるのは画期的だと思います。逆にこのようにアドホックにクエリを使った分析を重ねていって、その中でデータマートの要件を固めるというDMPの作り方もありですよね。スモールスタートができる。

■新しいデータソース

Google アナリティクスの新しいバージョン「Google アナリティクス 4 プロパティ」はBigQueryへのデータ出力がわずかなGCPの従量課金だけでできるようになりました。

これまでは有料版のGoogleアナリティクス360を使ったり社内データベース、ログファイルなどからデータを取り込んだりして初めて使えるようになったBigQueryだったのですが、このたび誰もが簡単な手順で分析するためのデータが入るようになったわけです。なおGoogle 広告のさまざまなレポートデータなどをBigQueryに毎日出力できるData Transferというサービスがあります。アカウントの規模を問わず1アカウントから使えます。

GoogleのBigQueryとデータポータルの組み合わせは必ずしも高度ではない、普段の分析に大いに役立つものです。一度試してみることをおすすめします。

コラム担当スタッフ

柳井 隆道

Option合同会社
代表社員
マーケティングテクノロジスト
marketechlabo

東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。

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