コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2019年5月29日号より
以前、ある企業様の入社数年の若手向けに、KPI設計の研修とワークショップを行う機会がありました。事業戦略におけるマーケティングの位置づけを概略として把握した上で、担当領域で自分が取り組んでいる施策、目標値やKPIを整理していただくというものです。
経験や担当領域によって理解や反応に差があったかもしれませんが、体系立てて学ぶ機会も限られているようで、概ねポジティブな評価をいただきました。
その中で気になったのは、挙げた施策のKPIそのものを自分の担当の目標値と勘違いする傾向が少しあるように見受けられたことです。「CVRの増加」「特定流入の直帰率減少」といったものです。本来であれば、プロジェクトの目指すゴールのうち、売上金額や件数の一部を目標値として担当施策が役割を担うはずです。それを目指すために、KPIをコントロールして良い数字に向かわせるというのが求められる形です。
まだ任されているのがプロジェクトの一部だったり経験が浅かったりする方々もいらっしゃるので、「勘違い」という表現は適切ではないでしょう。「その重要指標を良くするのがあなたの任務ですよ」とまだ役割を割り当てられているだけだからかもしれません。
ただ、プロジェクトに慣れる初期は良いかもしれませんが、KPIそのものを目標値と捉えるようになると手段が目的になってしまい、良くありません。「プロジェクト全体を見渡して目的とゴールを再確認し、そこからあらためて自分の取り組む施策に求められていることを整理してみよう」とお伝えしました。
プロジェクトのリーダーは、メンバーに対してプロジェクト全体の方向性とゴールを明確に伝えなければなりません。若く経験の浅いメンバーがいればなおさら、自分たちがどこを目指して進もうとしているのかを共有すべきです。それが事業ビジョンだからです。若手のメンバーに対しては役割を与えつつも、プロジェクトの方向性を踏まえた上での彼/彼女の役割ですよ、ということを伝えきる必要があるでしょう。
若手に対して「手段を目的としがちだ」と嘆く前に、自らがプロジェクトの方向性を伝えきれておらず、まだメンバーの腑に落ちていない可能性を探っておきたいです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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