コラムバックナンバー
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2018年8月1日号より
◆これまでのウェブ解析業務
これまでのウェブ解析の業務というのは、ほとんどの人にとってGoogleアナリティクスの画面を見て数字を眺めるというのが多かったのではないでしょうか。
一部の人(専門家?)はCSVファイルやGoogle Sheetsでデータをエクスポートし、データを加工してピボット集計をかけるなどというのを実践していたというわけです。
そして見たい変数やセグメント条件が変わると改めてデータを取得して、加工して集計する・・・という作業を繰り返していました。
データ取得と加工は最初にルールさえ決めてしまえばあとは頭を使わない作業で、しかしそこに時間がかかる。
解析業務の大部分が実はそのような頭を使わない時間に費やされていた、というのはある程度進んだ分析をやってきた方なら誰でも感じていることだと思います。
◆Google Data Studioの新機能
先日、Google Data StudioでExplorerという機能がベータ版ですが公開されました。
変数をドラッグ&ドロップで選択し、フィルタや期間も指定できる、アドホックに分析できるTableauのワークシートライクなUIです。
従来のData Studioでは、ダッシュボードに掲載する個別のチャートやテーブルを作る画面はあったのですが、ダッシュボードのパーツなのでサイズが限られて一覧性がないなど、可視化の前の分析や変数の入れ替えなどの試行錯誤がやりにくかったのです。それが解消され、データの可視化よりも分析に重きをおいた機能が追加されたわけです。
これにはData Studioのデータソースをそのまま使えるので、GoogleアナリティクスやSearch ConsoleのデータをTableauライクにアドホックに分析できるようになったのです。
複製も可能で、一つのワークブックでワークシートを10枚まで作れますし、試行錯誤して出来の良かったものをそのままダッシュボードにエクスポートすることもできます。
さらにはデータを他のデータソースとジョインする機能もできたので、記事マスタや商品マスタなどと結合して分析することもできるのです。
画面キャプチャを含むこの機能の具体的なイメージは以下の記事をご覧になると少しわかると思います。
アドホックなウェブ解析が簡単に―GoogleアナリティクスとGoogle Data Studioの探索機能
Googleアナリティクスのデータをアドホックに分析し、レポートにするまでの環境が整ったわけです。
◆アドホック分析の必要性
Adobe Analyticsではワークスペースという機能があり、早い時期から任意の指標やディメンションをマウスのドラッグ&ドロップで配置し、数値を見る、レポートを作るなどというのが行われていました。
分析者の見る画面が従来のレポート機能(指標やディメンションが固定のいわばGoogleアナリティクスの通常画面と同じ)からワークスペースへと移っていっていたわけです。
Googleアナリティクスでも、Adobe Analyticsでも、誰もがTableauライクな画面でアドホック分析をする環境を得た、同時に面倒なデータエクスポートからも解放されるようになったのです。
これによりウェブ分析業務における時間の使い方が変わるでしょう。無駄なデータ出力の時間を削減し、その時間をアドホックな分析をするのに充てることが求められるようになります。
今後のウェブ解析は見るべき変数を探し出し、アドホックに分析するというのが当たり前になります。
そして従来のGoogleアナリティクスのような固定のレポートはモニタリング用途に限定されていくでしょう。Data Studioでダッシュボードを作れたらそれすら不要になっていくかもしれません。
先日のa2iセミナー「顧客が見えればビジネスが動く -Adobe、GA360、Tableau」でも清水誠さんはGAやAAなどのアクセス解析ツールの画面はもう見ないと語っていました。
ウェブ解析の入門者にとっては、これまで漫然と用意されていた変数を眺めていたところから、自発的に項目を選択して数字を見ることが求められる、ある意味ステップアップになるでしょう。指標やディメンションの知識も求められます(とはいえ実際に使う指標やディメンションの種類は限定されています)。
1. (データを見るのではなく)イシューを解決するために何を知るべきかを明確にする。その際、
– フレームワークとしてABC(Acquisition: 流入, Behavior: サイト内行動, Conversion: コンバージョン)を活用する
– ユーザの動線を追う
2. それがどんな指標、条件(指標やディメンションの条件)の組み合わせでわかるか
3. それを可視化する
当たり前の流れですが、この意識がより一層重要になります。
「何を知るために何を見るのか」ウェブ解析に限らない、データを見る基本の姿勢がより重要になっていくでしょう。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
2025/04/16(水)
オンラインセミナー「【GA4&GTM完全攻略】それ計測したかった!を叶えよう」|2025/4/16(水)
GA4とGTMの正しい設定方法を基礎から実践まで徹底解説します。 GA4導入時に押さえておくべきポイントや、イベント設定・カスタムディメンシ …
2025/03/26(水)
オンラインセミナー「GA4はもう難しくない!最新機能と改善ポイントを徹底解説」|2025/3/26(水)
「GA4は使いにくい」と思っていませんか? それはもう過去の話!最新アップデートで、GA4はより直感的で便利な解析ツールへ進化し、ユーザーの …
2025/03/05(水)
オンラインセミナー「あの会社はこんなに伸びた!新規受注額2倍&年間受注額3倍の刃物メーカー、平均受注金額5倍のウェブ制作会社の事例」|2025/3/5(水)
2021年は刃物メーカーの1人担当者さん、2022年には小さな制作会社さんの事例を紹介しました。あれから2~3年たっても着実に成長されていま …
【コラム】電通の「日本の広告費」レポートに見る、デジタル認知広告の時代と効果測定の新しいカタチ
アナリティクスアソシエーション 大内 範行電通が今年2月末に恒例の「2024年 日本の広告費」を発表しました。皆さんにとっては、予想した驚きのないレポートかもしれません。 ただ、私は …
今回はタイトルの通りですが、GTM(Googleタグマネージャー)のあるあるを言っていきたいと思います。 前提として「どんな人が言っているの …
【コラム】プライバシー保護と法律 この山は面倒ですが登り始めましょう
アナリティクスアソシエーション 大内 範行ここ数年で個人情報保護などプライバシー保護の法律面の理解を深めて、いくつかのプロジェクトに関わるようになりました。 今では法律理解は、マーケ …