コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
メールマガジン2017年6月28日号より 真摯 いちしま泰樹
コンテンツマーケティングの興隆もあって、メディアサイトを別に運営したり、企業サイト内でメディア的要素をより前面に出したりというケースが増えてきました。ここで改めて、メディアサイトの評価方法と課題を整理してみました。メディアサイトの評価方法にはさまざまなものがあると思いますが、ここでは以下の3つに分類してみます。
1)ユーザー獲得
2)コンテンツへのアクション(読了、反応、拡散)
3)ビジネス貢献
それぞれの詳細と課題を順に見ていきます。
◆ユーザー獲得
メディアサイトの評価方法の1つ目は、ユーザー獲得の側面です。
対外的に提示する場合はユニークユーザー数でもよいかもしれません。しかし、メディアサイトとしての成長を把握するなら、ユニークユーザーを分解し、「新規ユーザーの獲得」と「固定客、常連客の獲得と維持」の2点に注目すべきです。
・新規ユーザーの獲得
・固定客、常連客の獲得と維持
前者の「新規ユーザーの獲得」は新たにメディアサイトに触れたユーザーを増やせているかという視点、後者の「固定客、常連客の獲得と維持」は継続してあるいは好んでメディアサイトに触れるユーザーを増やせているかという視点です。
後者では「固定客」「常連客」の定義が必要です。例えば「通算n回以上訪問しているユーザー」や「直近xか月でy回以上訪問しているユーザー」といった定義が考えられます。会員向けサイトであればログインベースでのフリークエンシーを元にしたアクティブユーザー数で定義しても良いでしょう。
注意すべきことは、Cookieベースでのユーザー数は実態よりも割り増しされた数字になるということです。マルチデバイス利用が一般的になり、また多くのアプリ内ブラウザーのおかげで一人が複数のCookieを持っている昨今です。「新規ユーザー」も「固定客、常連客」も、実態より割り増しされた数字という認識の元で、推移を把握していきます。
◆コンテンツへのアクション(読了、反応、拡散)
メディアサイトの評価方法の2つ目は、コンテンツへのアクションの側面です。アクションは「読了」「反応」「拡散」の3つの視点に分類できます。
「読了」では、容易な把握として挙げられる指標は「ページビュー」でしょう。しかしそれ以上の「その記事はちゃんと読まれたの?」という疑問を解決するには何らかの定義や前提が必要で、かつ手間と費用がかかってきます。
スクリーンヒートマップツールによるスクロールやアテンションなどの状況、妥当な計測によるページ滞在時間、それらを何らかのロジックで組み合わせて算出される読了率、等々。そもそも数値化が難しいものもあり、「ちゃんと読まれたの?」に向き合うには複数のデータを用いた総合的な判断や妥協など、「工数はかかるが明確な結果を得にくい」着地を受け入れなければいけません。
「反応」や「拡散」では、シェアや「いいね」の状況が容易に把握できるものとして挙げられます。メディアによってはシェアされにくい性格のものもあり、サイト固有のページ上のアクション、アンケートやコメントなどのオンラインフィードバックの要素を複数準備しておくことも大切です。
その記事がちゃんと読まれたのかや心に響いたかどうかは、単純なページビューやシェアの数だけでなく、熱量のある反応やフィードバックの有無を含めて評価したいなというのが個人的な希望です。
◆ビジネス貢献
メディアサイトの評価方法の3つ目は、そのメディアサイトやコンテンツがどれだけビジネスに貢献しているかという側面です。
単純にメディアサイトそのものでビジネス的な売上を作っているのであれば、インプレッション収益(RPM)などになるでしょう。
一方で、コンテンツマーケティング的な運用でメディアとは別に購入や資料請求といったコンバージョンポイントが設けられている場合は、コンテンツのコンバージョン貢献度を算出していくことになります。ただしこれも判断が難しかったり、算出そのものが困難だったりします。
例えば、単価が低い商材のようにコンバージョンに至るまでの期間の短い商材であれば、1件獲得あたりの金額価値をベースにユーザーレベルでのページ閲覧有無で価値を配分し、ページの金額価値は算出できます。ただし「どのページで心を動かされたのか」が判別できない限り、各ページの金額価値は過大評価になりがちです。
コンバージョンに至るまで半年から数年かかるような商材やオフラインで契約するような商材であれば、先ほどのページの金額価値の算出は困難です。接触チャネルがオフラインとオンライン含めて数多くまたがり、また接点ごとの感情がよりくみ取りにくいためです。
現実的には、カスタマージャーニーのプロセスを区切って評価したり、コンバージョン到達後にアンケートやデプスインタビューなどでメディアの貢献度を推し量ったりといった方法になるかと思います。
ブランディングや資産価値でのビジネス貢献もありますが、それはいったん横に置いておきましょう。
このビジネス貢献の評価の難しさも、適切にメディアを評価できなかったり、コンテンツマーケティングが高負荷のまま継続する要因の一つになっていることは否めません。
メディアサイトの目的や方向性やゴールをしっかり定義することで、ページビューやユーザー数といった指標でも意味を持って取り扱えるようになります。どのサイトも模索しながらになるはずですが、参考にしてみてください。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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