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アクセス解析などのデータ分析では、基本的には仮説検証型でデータを見ましょうと言われます。では仮説検証型とは逆に、取り敢えずデータを収集した結果から課題を抽出するアプローチはダメなのでしょうか。

取り敢えずデータを収集してみないと、最初の一歩が踏み出せないこともあります。無料のツールであれば、取り敢えずデータを収集して解析を始めてみてもよいでしょう。無料なら、導入や分析に費やす時間コスト以外は考えなくていいので、「直帰率が異常に高い」といった誰にもわかる課題や考えるきっかけを共有するだけでも有効性は高いと思うからです。仮説検証型とは逆なので、出てきたデータを都合よく解釈してしまいがちなところは注意が必要ですが、初期段階としてはそれでも導入効果は高いでしょう。

ただ無料のツールでも、導入やデータを見るための時間的コストは発生しているので、サイトの改善に結びつけて売上や利益貢献しなければ意味がありません。

さらに有料で複雑なツールだと、様々なカスタマイズを事前に設計し準備してから計測しないと、高額な費用を回収するリターンを得られないことになります。このような場合は、取り敢えず導入してはいけないのです。よく考えてから導入しないと、再度設計からやり直しになることにもなりかねません。

今はやりのビッグデータではどうでしょうか。「取り敢えずデータを溜めておけば、後でどうにでも活用できると」と聞いたので、どのDMPツールを入れたらよいのか考えたいとします。

この場合に、取り敢えずツールを入れるというのはまずあり得ないだろうと思います。このケースであれば、自社他社含めてどういう広告データやマーケティングのデータ資産があって、それをどのようなマーケティング活動に活用することで、幾らの売上貢献あるいは費用削減に繋がるのか、そのためにはどのツールとどのツールが必要で、その結果、ツール導入の費用対効果はどのくらい期待できるのかということを最初にしっかり考える必要があるでしょう。

どのツールを選ぶかは結果論であって、目的ではありません。しかし最初の導入を間違えれば、全てが無駄になりかねないという意味で、最初の企画設計が成功失敗の全てを握っているとも言えます。もちろん技術の進歩は早いので、途中で修正が必要になることはあるでしょう。しかしそれでもしっかり筋道を事前に考えて進めた場合と、行き当たりばったりで対応するのでは大違いです。

まとめますが、「取り敢えず」のツール導入はよくないことが多いと思います。しかしあまり仮説検証型に囚われて、「取り敢えず」ツールを導入することを過度にためらう必要もないかなと思います。ポイントは費用対効果です。となれば高価なシステム導入ほど、慎重に進めよということに尽きます。

最後に有料ツールを無償で使う方法をご紹介します。よくある手法なので、目新しくもないですが、期間限定のお試し版といった正規のサービスをタイミングよく利用させてもらうような方法もありますし、大企業が普通の有料版をタダに近い金額で導入して使わせてもらう話はよく聞きます。

これは、ツールベンダー側からすれば、「あの企業も使ってます」と宣伝させてもらうことに対するバーターな訳です。こういう方法を活用して「取り敢えず」ツールを導入する手もあります。もちろんこの場合も趣味で導入する訳ではありませんから、有効活用する目的を意識しながら評価する姿勢で取り組む必要があります。

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