コラムバックナンバー
メールマガジン2013年11月12日号より 石井 陽子
データ分析のプロジェクトで失敗しないためには、「分析の目的」を明確にすることが重要であるということは、このコラムをお読みの方は何度も目にしてきているでしょうし、他のメディアや書籍などでもよく書かれていることです。
しかしこの「目的」について、皆さんはどこまでのイメージを持っているでしょうか。
分析して得たい結果ですか?それとも、アクションプランですか?
今回は例として、最近お仕事させて頂いた某企業A(メーカー)の例を挙げてみます。
A社では、ある情報サイトを運営しています。
多くの会員を保有しているも、会員の特性(属性・行動・嗜好)に合ったコンテンツ配信が出来ているとは言い難く、ほとんどの情報は画一的に配信されたものでした。
多くの情報源がある昨今、サイトとしてのロイヤルティを高めていくには、会員にフィットした情報提供をしたいというのが、ビジネス課題でした。
A社は分析環境が非常に充実しており、社内外でそれに長けたスタッフも多くいます。
調査にはログデータをはじめアンケート回答や会員データを用いることができ、それらは連携できるようになっていました。
プロジェクトメンバーで、どんな分析を行うかディスカッションし、調査項目の設計をしていきました。
ここで、分析設計の際によくやりがちな「あれもこれも見てみたい」という思いがメンバーの中に芽生えました。これはデータ分析のプロジェクトで失敗するひとつの要因です。
見たいことや検証したいことをあれこれ詰め込んでしまうことにより、調査量とその時間は膨れ上がります。その割には得られることは以前やった調査と同じような結果だったといったように費用対効果が非常に悪い分析プロジェクトとなる可能性がここにあります。
A社のプロジェクトメンバーは、調査経験も多く、そこから得られる気付きがどれだけ有用であるかも熟知していました。
それでも、いや、それだからこそかもしれませんが、検証してみたい仮説が増えすぎて調査設計ボリュームが膨大となってしまいました。
振り返ると、このプロジェクトを経て達成しなくてはならないのは、
「会員の特性から分けられたグループに対し、それぞれに合ったコンテンツ(企画)を配信できるようにする」ことでした。
ですので、プロジェクトではもう一度調査内容を見直すことにしました。その際、
・コンテンツや企画などのアクションイメージがわかない調査項目は捨てる。
・別の調査で補える(同様の結果が得られそう)なものは捨てる
この2点を意識し、調査のコンパクト化(プロジェクト期間等の)を図りました。
結果、分析期間は当初想定よりも短くなり、その分アクションを積み重ねる方に多くの時間を使えるようになりました。また今のところ、プロジェクトで捨てた調査項目が無かったことによる弊害は起こっていません。
分析できる環境(データや手段)が増えているといえども、与えられている予算やミッション達成までの期間はそれに比例して多くなるとは限りません。
そのような中で、マーケティング効果を最大化させるには、調査のコンパクト化(早くPDCAを回す)を図らなければならず、そのためには具体的なアクションが描けるような分析を行うということが、今後重要になってくると言えるかと思います。
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