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個人的に興味深かった先週の記事のひとつはこちらでした。

月商数百万円規模のECサイトがアクセス解析を使わなくても良い理由(SEM-LABO)

SEM-LABOの阿部氏は、「語弊があるかもしれないけど」と前置きした上で、「決してアクセス解析がいらないといっているわけではなく、彼らにはアクセス解析よりも重要なものがあるのだ」「これまで取り組んでいた取り組みのROIをどこかのタイミングで解析ROIが超えなければ、アクセス解析に本気で取り組む価値は無い」と書いています。

「アクセス解析に取り組むコストに対して得られるリターンが小さいのなら、他のリターンが大きい施策を優先すべき」という意味で、僕も同意です。


無料の解析ツールが多くあるため、「アクセス解析は無料」と勘違いされる方もいらっしゃいます。しかし、仮にツールは無料でも、分析そのものには内製でやろうが外部に依頼しようが人的工数がかかってきます。「ここまでやればOK」という基準もありません。もちろん、アクセス解析を踏まえてその次の「改善」の行程も踏まなければ、ビジネスはよくなりません。

とはいえ、さすがにわたしも「アクセス解析はあとでいい」とは言い切れません。アクセス解析領域を軸足としたコンサルタントのポジショントークに聞こえるかもしれませんが、「アクセス解析の視点はウェブビジネスに取り込むべき」と思っています。

アクセス解析とひと言でいっても、取り組む目的によってその内容はさまざまです。まず大きく3つ、「現状把握」「効果分析」「課題発見」が挙げられるでしょう。その先は「レコメンデーションや自動化へのデータ活用」「SFAやCRMとのデータ連係」など高度な利用になってきますが、少なくともウェブビジネスを展開する以上、「現状把握」の側面はビジネスに組み込まれているべきです。欲を言えば、「効果分析」「課題発見」のそれぞれの一部も含まれていると理想です。

「現状把握」は、見るべき指標、KPIのトレンドを把握することに始まります。その指標には、アクセス解析のデータも多く占めてくるはずです。最低限それは追いかけなければいけません。異常値の発見やトレンドの状況を見ることで、課題発見や対応につながってくるからです。そこから先の「奥深くなりがちな詳細なアクセス解析」は、いまやらなくてもいいかもしれない、というのが冒頭の阿部氏の視点でしょう。

もちろん、現状把握に必要な「見るべき指標」は、ビジネスゴールに結びついたものを選ばなければいけません。その「見るべき指標は何か」で、また小一時間悩んだり迷ったりするのですが…。

「解析ROI」というのは、わたしも意識している点のひとつです。分析から改善の施行をするまでの一連の行程の工数が想定されるリターンと見合わないのであれば、「しない」という判断も必要である、そういうことだと思います。

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