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こんにちは、月曜日のトラの西です。
私は2006年に社会人となり、社会人1年目からアクセス解析ツールに触れてきました。2026年は、私がアクセス解析に関わり始めてから21年目に入る年となります。
2025年はGoogle Analytics MCPサーバーの登場をはじめ、アクセス解析のやり方そのものに大きく変わる兆しが見えた年でした。個人的には「20年目でこんなの来ちゃったよ」とうれしさ半分、悲しさ半分でした。それと同時に、「Webアナリストという仕事は、この先どうなるのだろう」「もしかして、いよいよ廃業なのか?」と、自分自身の立ち位置を考える機会も増えました。

今回は、そうした背景を踏まえたうえで、「2026年以降も生き残るであろうアクセス解析業務」について、現時点で考えていることを整理してみたいと思います。

2026年、アクセス解析業務に訪れるであろう変化

そもそもWebサイトにアクセスしなくなる

私自身、調べ物の多くをChatGPTやGeminiで行うようになりました。Google検索をしたとしても、AI Overviewsの結果を見て満足してしまうことも少なくありません。
また、検索に限らず、SNSやYouTubeなど、Webサイト外で検討が完結する行動も増えています。さらに、AI上で決済が完結する、といったニュースも出てきました。
New tech and tools for retailers to succeed in an agentic shopping era(Google Ads & Commerce Blog)
「Webサイトに人が来ること」を前提にしたアクセス解析は、今後その前提自体が揺らいでいく可能性があります。

トラッキングは引き続き難しい状況が続く

Apple ITPやCMP(Cookie同意管理)ツールの影響により、十分なデータが計測できないサイトは引き続き増えていくでしょう。
特に、インバウンド需要を意識したホテル・旅行系サイトではCMPツールの導入率が高く、満足に分析できないケースも多く見られます。
Google AnalyticsやGTMには一定の対策手段が用意されていますが、実際に対応できている企業は決して多くありません。
また、この数年でSPAサイトも増えてきていますが、これらのWebサイトの計測は、GAの専門家であっても難易度が高い領域です。
こうしたサイトは今後さらに増えていき、いずれデファクトスタンダードになっていくと考えられますが、正しく計測できているサイトは相対的に減っていく可能性があります。

AIによる分析が進んでいく(かもしれない)

a2iをはじめ、さまざまな団体や企業が「AI×Google Analytics」をテーマにしたセミナーを開催するようになるでしょう。先人たちがやり方を競って共有するようになり、アクセス解析においても、「分析はAIに任せる」という選択肢が一般化していくと考えられます。

それでもアクセス解析業務に求められること

こうした変化を前提にしたとき、アクセス解析を業務にしてきた人にとって、何が重要になるのでしょうか。
私自身は、次のような点がより重要になると考えています。

AIに任せるからこそ、正しい計測の重要性が高まる

データ分析の世界には、Garbage In Garbage Out(質の悪いデータからは質の悪いアウトプットしか得られない)という言葉があります。
人間が分析していた時代であれば、「この数字、何かおかしいな」と途中で違和感に気づけた場面もありました。
一方で、AIに分析を任せると、その結果を盲信してしまうリスクは確実に高まります。
だからこそ、AI時代においては、計測を正しく行うこと自体が、人間に残された重要な役割になると考えています。

細かい点ですが、GA4のイベント名に英語を使わないとAPIエラーになることがあるといった仕様もあります。日本語でも計測できるのに、ひどい話です(苦笑)。
AIはAPI経由でデータを取得するため、こうした設計上の配慮も今後は無視できません。

GA4の設計書は、今後ますます重要になる

  • そのイベント名は何を意味しているのか
  • どのような条件で計測されているのか

こうした情報をきちんとドキュメントとして残しておくことは、人間だけでなくAIにとっても不可欠です。
設計書に加えて、URL一覧や画面構成図なども整理しておくことで、AIを活用した分析の精度は大きく変わってくるはずです。

GAだけに固執しない

残念ながら、データは今後さらに散在していきます。
ユーザーの検討行動は、Webサイトだけでなく、SNS、noteなどの外部メディア、さらにはAI上で完結するケースも増えていくでしょう。
その結果、「GAとSearch Consoleを見ていれば十分」というスタンスは、通用しにくくなっていきます。
また、ここ最近は、SEO・広告集客の難化を背景に、以下のような顧客関係構築の施策に取り組む企業も増えてきたように感じます。

  • SNS上でのファン形成
  • MA・CRMによるナーチャリングとエンゲージメント醸成

このように、他のデータにも目を向ける姿勢が求められるようになります。

データの海に溺れない・方向感をつかむ

前述のような背景を踏まえたときに、Looker Studioなどを使って、データを広範囲に追いかけようというムーブメントが起こると思います。
たしかに、Looker Studioを使えば、さまざまなデータを一元的に可視化できます。
しかし、すべての数字を追いかけるのは正直しんどく、かえって判断を迷わせることもあります。
重要なのは、

  • 今はうまくいっているのか
  • この前やった施策の状況はどうか
  • 何かがおかしくなり始めているのか

といった「方向感」をつかめればいいはずです。
細かいデータを見るのではなく、調子を掴む。
この領域は、必ずしも細かい分析が必要ではない、AIエージェントによるタスク処理と非常に相性が良い分野でもあります。

「人」について考える時間を増やす

アクセス解析を成功させるには、GAを操作する時間以上に「サイトを使っているのはどんな人か」を考える時間が重要です。
AIとの壁打ちや情報インプットを通じて顧客の解像度を高められる今こそ、以下のサイクルを主導できる人材の価値が高まっています。

  • 顧客理解:営業・CSとの連携や調査を通じ、ユーザー像と課題を特定する
  • 仮説検証:立てた仮説に基づき、A/Bテスト等で施策を改善し続ける

単にツールを使えるだけでなく、「人に向き合い、洞察を得て、仮説検証につなげる」。
このプロセスを主導できることこそが、今後の不可欠なスキルとなるはずです。



まとめると、今後のアクセス解析業務では次のような姿勢が求められると考えています。

  • AIを働かせるための準備をする(正確な計測・ドキュメント整備)
  • アクセス解析に閉じず、他のデータにも目を向ける
  • 「人」の解像度を高め、仮説を立て続ける

アクセス解析は、いくつかあるデジタルマーケティングの業務の中でも、比較的広い視野で状況を把握することが求められる仕事だと私は考えています。
また、この業務に携わってきた方は、無意識のうちにデータへの感度や違和感に気づく力を磨いてきたはずです。
その経験や感覚は、これからの時代に、少し違った形で活かせるところがあると思います。

コラム担当スタッフ

西 正広

株式会社MOLTS/株式会社月曜日のトラ
代表取締役

大手不動産賃貸事業会社におけるWebディレクション・デジタルマーケティング業務後、インターネット専業広告代理店・株式会社電通デジタルにてアクセス解析・DMP・レコメンデーション・BIツールなどの導入・活用支援に取り組む。 2019年7月よりMOLTSに参画。2020年よりKASCADE取締役、2023年より月曜日のトラを設立し、代表取締役に就任。データに基づくサービス改善、ビッグデータ活用のコンサルティング、インハウス運用、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援する。

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