コラムバックナンバー

6月12日にa2iの交流会を開催し、多くの方とお話しする機会がありました。
また、5月30日にはWeb担当者Forum ミーティング 2025 春で「GA4と生成AI」をテーマに登壇しました。かなり多くの方にご視聴いただきました。
これらのイベントを通じて、多くのGoogle アナリティクス利用者が、分析業務への生成AIの活用に強い関心を持っていることを実感しました。

今回は、「今の時代、どのようにアクセス解析学習を進めるべきか」「自身のスキルをどう拡張していくべきか」について、私自身のアクセス解析キャリアを交えながら考察したいと思います。

アクセス解析との出会い

社会人1年目、不動産会社で国産アクセス解析ツール「Visionalist」に初めて触れました。
先輩社員から引き継いだExcelレポートの更新作業にやや面倒さを感じつつも、別の先輩に教わったVLOOKUP関数を活用して効率化を図ったことで、レポートの更新が素早くできるようになり、Excelの面白さを見いだしました。
そうしてExcelでさまざまな分析&効率化を施していたら、知りたいことがいろいろと出てきて、いつの間にやらアクセス解析に興味を抱いていたという形です。
とはいえ自己流でしたし、本当にこれであってるのかな?という疑念は尽きませんでした。
そんななかで、HAPPY ANALYTICSの小川さんのブログを見つけ、a2iも発足し、他の有識者の知見が得られることが嬉しかった記憶があります。

ラッキーなWebアナリスト転職

社会人3年目にはインターネット広告代理店に転職し、アクセス解析を本格的に学びました。なお、このときはWebアナリストではなく、広告運用者の募集に応募しました。Webアナリストの募集などなかったのです。面接の場で1社目でやっていたことを伝えたら、「広告運用者ではなくWebアナリストではどうか?」とお話をいただき、晴れて広告代理店のWebアナリストになりました。ラッキーでした。
ここではクライアントワークを通して知見を深めました。先輩社員にも教わり、しっかりと知識をつけることができました。
広告指標とアクセス解析指標を組み合わせた複合的な評価にも取り組みました。
さまざまなコミュニティ(a2iやeVar7(Adobe Analyticsのユーザーコミュニティ)など)が盛り上がりはじめていたのもこの時期だと思います。もちろん私も参加しました。

後輩のアイデアに震撼しつつも感心

それから数年後、ECサイトを担当したことから、CRMの重要性を感じ、転職しました。
今まで培ってきたアクセス解析のスキルを活かしつつ、複数名の後輩社員へのOJTも担当しました。
ある日、後輩社員が印象的な仕事をしました。月次提携レポートをなるべく早く作るために、PowerPointのレポートにExcelをリンクして貼り付け、レポート作成工程を簡略化してきたのです。私は正直なところ、そんな更新の仕方は邪道だ!(じっくりと数字を眺めてレポート作りに取り組むことでいいコメントが書ける)と思ったのですが、まあ確かにこれは素早く更新できるなと感心し、数ヶ月後には我々のチームのスタンダードなレポート作成方法となりました。
まあ、そんな更新スタイルも、数年後にはLooker Studioが登場して、月次提携レポート自体もスタイルが変わり、無くなっていったわけなのですが。

GA360リセラー同士の情報交換

この会社では、GA360リセラーになるための契約業務や営業活動など、リセラーが行うさまざまな業務も経験しました。
同時に、他社のリセラー同士の情報交換も行いました。普段は競合だけど、あの機能ってどう使うのが正解なの?みたいなマニアックな会話も裏でしていました。

またひとりに戻った、でもXがあれば孤独ではない

そんな環境下で約8年過ごし、いまの会社に転職。いまの会社は、広告・オウンドメディア・Webアナリストなど、それぞれのスキルを持った者が集う会社。私が入社した当時は、アクセス解析の仕事をしている人はいなくて、また一社目のように一人で黙々と仕事をしていました。
ただ、最初の会社のときと大きく違うのは、まわりにはWebアナリスト仲間がいること。学習教材だってたくさんあります。

ひょんなことから8年ぐらい使ってなかったX(旧Twitter)を再開(@macchaice)。もともと300ぐらいいたフォロワー数は、みるみるうちに200ぐらいまでに減りました。ところが、今まで培ってきたアクセス解析ネタを発信していたら、GA4移行の盛り上がりに乗じて、私のXアカウントもフォロワーが増えて、いまや2,800フォロワーぐらいまでナチュラルに増加しました。

GA4の発信をしている方は本当に多くて、a2iのセミナー編成委員のみなさんや、昔から質の高い情報発信をされているHAPPY ANALYTICSの小川さん(@takuogawa_1978)・プリンシプルの木田さん(@kazkida)、今年度、a2iセミナーでGA4講師を担当いただいたOptimize Next開発者の植松さん(@kazato1223)など、さまざまな有識者が日夜コメントしています。特に、Reproの嶋さん(@AnalyticsShima)は、アプリ×GAという、私含め多くのGA4ユーザーがあまり触れないテーマでの発信が多く、本当に学びが多いです。

こうした方々とのSNS上での情報交換の機会が増え、刺激を受け続けています。(それだけに、先日の交流会はこうした方とリアルで会えて本当に楽しかったです。)

生成AI時代のアクセス解析学習

さて、ここからが本題です。

私がGA4に詳しくなれたのは、前述の通り、常に多様な人から刺激を受けてきたからです。
クライアントからの鋭いフィードバック、コミュニティでの学び、SNSでの情報収集、後輩からの新しい発想、これらが自分の成長を後押ししてくれました。

一方で、生成AIを活用すれば、GAやGTMの使い方、KPI設定など、あらゆる疑問に即座に答えが得られる時代になりました。 GTMの複雑な設定も、生成AIにお願いすれば、具体的な設定コードまで比較的簡単に手に入ります。

私自身は、アクセス解析の学習において、生成AIを「二人三脚のパートナー」として活用することを勧めています。Googleアナリティクスの疑問や設定方法など、いつでもAIに相談できる環境は大きな強みです。生成AIとともに学べば、一定レベルまでは効率的に到達できるでしょう。

ただし、生成AIは自分が問いかけた範囲でしか答えを返してくれません。自分の知識や発想の枠を広げるためには、やはり人との交流やコミュニティでの情報交換が不可欠です。他者からの刺激や思いもよらない意見に触れることで、自分の成長はさらに加速します。

そうした他者との関わりの中で、「自分もこんなことをやってみたい」「こういうことができるのではないか」といった新しいアイデアやインスピレーションが生まれてきます。そして、そのアイデアを実際にどう形にすればよいか、具体的な方法や手順を深く掘り下げていく際に、生成AIが大きな力を発揮します。いままでは「すごいなー」で終わってしまっていたことも、生成AIを活用することで、実現までの道筋を高い解像度で描き、着実に具現化していくことができるのです。

生成AIは、初期学習時には学習のアシスタントとして活用できます。スキルが高まった際には実現したいことの「水先案内人」として活用できることでしょう。 しかし、「何を学ぶべきか」「自分の枠を広げるにはどうすればよいか」といった問いには、人との関わりやコミュニティの力が必要と考えています。

平たく言えば、生成AIに学ぶのは超おすすめだけど、いろんな人間の発言や意見に耳を傾けると、もっと速く成長できるよということです。

これが、2025年6月時点で私が考える「AI時代のアクセス解析最速学習理論」です。

コラム担当スタッフ

西 正広

株式会社MOLTS/株式会社月曜日のトラ
代表取締役

大手不動産賃貸事業会社におけるWebディレクション・デジタルマーケティング業務後、インターネット専業広告代理店・株式会社電通デジタルにてアクセス解析・DMP・レコメンデーション・BIツールなどの導入・活用支援に取り組む。 2019年7月よりMOLTSに参画。2020年よりKASCADE取締役、2023年より月曜日のトラを設立し、代表取締役に就任。データに基づくサービス改善、ビッグデータ活用のコンサルティング、インハウス運用、データドリブンなマーケティング組織の構築を支援する。

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