コラムバックナンバー
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2023年2月22日号より
最近GA4を使って分析をする機会に触れることが多くなっています。やっと導入から活用のフェーズが始まったと感動する一方で、GA4だけを使ってできることの限界を感じることも多くなってきました。
■探索機能と変数
GA4では基本的に分析は探索機能を使ってやることになります。ところがこの探索機能が難しい。レポートに表示する変数、つまりディメンションと指標の組み合わせによって何がレポートとして表示されるのか、意図したアウトプットになるのか、常に意識しておく必要があります。
変数の掛け合わせというのはユニバーサルアナリティクスの時も同様でした。変数にユーザースコープ/セッションスコープ/ヒットスコープがあり、一つのレポートのディメンションとして混在させたときにどうなるかを考えていたわけですが、ある程度のタイミング以降は変数は固定され、挙動に明確な規則性がありました。
GA4ではユニバーサルアナリティクスの時になかった新たな変数が追加され、それがユーザー/セッション/イベント(ヒット)スコープでどのような挙動をするのかを知っておかなければ正しいレポートを出せません。そしてユーザー数をカウントする概念にしても、「総ユーザー数」と「アクティブ ユーザー数」という2つの指標があります。この2つの指標の違いはGA4におけるエンゲージメントの扱いにかかわるのですが、使い分けるためにはエンゲージメントについて正確に知っておく必要があります(値が大きく変わるものではないので、使い分けをあきらめる選択もありですが)。
しかもGA4では当初はユーザースコープとイベントスコープしかなかったのですが、後になってセッションという概念が導入され、セッションスコープの変数も徐々に増えてきました。新しく追加されたこのあたりの変数の挙動も知っておかなければならないのですが、そもそもセッションが後付けの概念である以上、システム全体の中で統一的な挙動になっているのか怪しいところではあります。
変数とスコープについてはこのあたりのサイトが参考になります。
Google Analytics 4 (GA4) – Dimensions and Metrics Cheatsheet
とはいえ公式ドキュメントでない以上、最新の状況が正しく反映されているか疑いを持ってみておかないと危険です。
■探索機能はオールインワンなのか?
探索機能はGoogleがこれ一つであらゆる分析を完結できるように準備してくれた機能のようにも見えるのですが、果たしてそうなのでしょうか。
ユニバーサルアナリティクスの時の分析フローは分析者がセグメントを多数作り、さまざまなディメンションと指標の組み合わせでカスタムレポート(APIを使って取得することが多かったですが)をCSVファイルなどで出力していました。そして表計算ソフトでそれら複数のシートの集計結合を繰り返して目的のアウトプットを作っていました。
GA4の探索機能を使っても複数のレポートを同時に出力してそれらを結合・集計することはできません。Looker Studioを使えば結合自体はできますが、セグメントを適用できませんし、使える変数の種類も探索機能に比べると限られています。正直分析に使うには足りないですね。結局GA4を使う場合でも、探索機能で完結させるのは無理です。ファイルを外に出して別のソフトウェアを使う、あるいは直接ログを使えば集計とJOINは自由にできます。
■不具合も
探索でさまざまな条件を指定したがレポートを出せないなど、実はGA4側の不具合のこともあります。最初はエラーが出たけど時間が経って同じ条件でレポートを作ると何もなかったかのように正常に動作するなんてことも結構あるのです。もちろん分析者側に非がある場合もあります。その切り分けが難しい。
GA4の探索機能は優れたものですが、何も考えずに頼るのも危険です。何ができて何ができないのか、どのように使ったらどのようなアウトプットが出るのか。出力結果は意図を正しく反映しているのか。しっかりと把握した上で使いましょう。
自社で分析する大変さもさながら、クライアントワークで支援する会社の負担は大きいと思います。これらの機能や挙動について質問が来た時に対応できるのか。今回触れたくらいのことを知らない会社はパートナーとして不適格というのは言うまでもありませんが、求められるスキルの水準は以前に比べてグッと上がっていますよね。そう考えると、実はログを直接分析したほうが簡単ではないかとも思います。集計ロジックを自分で定義することができますし、再現性も高い。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
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