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■クリック計測の目的ごとの適した計測とデータ処理

ウェブ行動計測において多くの人が好むイベントトラッキングにクリック計測があります。
「とりあえずクリックを計測したい」何を計測するかを決めている余裕はないのでとりあえず計測可能なクリックは計測しておくというwantsです。

果たしてそのようにして計測したクリックデータを振り返り、活用までしているケースはどれだけあるのでしょうか?
クリック数を見ている場合でも、そもそもクリック数を知ることで何の意味があるのでしょうか?

活用を考えれば単純にクリック数を計測するだけでは不十分です。ビジネスの目的で考えてみましょう。

広告クリックであれば、クリック率が重要な指標になります。つまりインプレッションと同時に見る必要がある、インプレッションのトラッキングも同時にしていなければなりません。さらにローテーションが前提となるので、クリエイティブIDのデータも送ってクリエイティブ別に比較することになりますよね。まあこのあたりを吸収してくれるのがアドサーバなので、結局広告事業の場合はアドサーバの数値を見るケースも多いのでしょうが。

サイト内動線を考えるためのクリック計測もあります。その場合クリックがゴールではありません。クリックした人のその後の行動に着目する。クリックしたほうがその後のコンバージョン率が高いのか、逆に低くなるのか。クリックとコンバージョンの前後関係に着目して分析する必要があります。
つまりシーケンスセグメントを何度も使った分析や、ログを使った分析が求められます。手間のかかる高度な分析になります。望ましくないクリックだってあるという視点は重要ですよね。

単純にページ内のレイアウトを最適化するためにページ内の要素のクリック数や率だけを見たいのであればGoogleアナリティクスやAdobe Analyticsなどのウェブ計測ツールはあまり適切ではないです。計測と集計に無駄に手間がかかるうえ、レポートが見づらいですよね。ヒートマップを導入すべきです。あるいはレコーディングを見るのは有力です。

このように目的によって適したクリック計測の方法とデータの処理方法が変わってくるわけです。そもそも使わないクリックデータであれば計測する必要がありません。計測要件を決めるとき、「計測しないが当たり前」という前提で考えるべきです。計測する必要があるなら、どのようにそのデータを使うのか、そのためには付随してどんなデータが必要なのか。どのような抽出ロジックが必要なのか。それも考えておくべきです。これはクリック計測に限らずあらゆる計測についてもいえることですが。

■クリックトリガーの落とし穴

Googleタグマネージャーのクリックトリガーには「リンククリックトリガー」と「すべての要素」があります。これと組み込み変数「Click URL」を組み合わせてクリック計測をし、クリックしたリンクのURLをデータとして送ることが多いでしょう。

この「Click URL」という変数はリンククリックの場合にはリンク先のURLが採用されますが、すべての要素クリックトリガーで画像をクリックした場合には画像自体のURLが採用されます。意外と知られていない事実です。

複雑な構造のHTMLで<a>タグの中に<div>や画像を格納し、それらの要素に対して「すべての要素」クリックトリガーを使うことがあると思いますが、この点に気を付ける必要があります。解析ツールでクリックしたURLを入れるはずの欄に画像のURLが入っているケースも散見されます。クリック計測データを活用していたら気づくことではあるのですが、結局設定しっぱなしでこのような誤計測に気づかれないこともよくある話です。
そして「すべての要素」トリガーはクリック対象の要素が親子関係になっているときなど、何を対象要素とするのかわからなくなりがちです。ということもあり、リンクは極力リンククリックトリガーを使うべきだと思います。

コラム担当スタッフ

柳井 隆道

Option合同会社
代表社員
マーケティングテクノロジスト
marketechlabo

東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。

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