a2iコラム
Option合同会社 柳井 隆道
発信元:メールマガジン2021年9月8日号より
最近のデジタルトランスフォーメーションの動きの中で、エンジニアでない一般のマーケターでもCMS、行動計測ツールやCDP、マーケティングオートメーション、分析ツールなど、さまざまなツールを活用する機会が多くなっています。以前に比べるとこういった既存のツールを使うことが市民権を得てきている実感はあり、導入するツールの選定をしなければならない機会も増えているでしょう。
私も選定にかかわることが多いのですが、いくつか参考になる考え方を紹介します。
■スペック
当然ツール選定の際に重視されるのはスペックです。最初に機能(現在できることとできないこと)と価格。そしてパフォーマンス(処理速度)やキャパシティ。UI面やライセンス体系がカギになるケースもあるでしょう。最後にSLAやサポート体制あたりですかね。いろいろ比較軸があります。カタログスペックを洗い出して比較軸にマッピングすることは求められます。
■設計思想と得意分野
ツールの設計思想を知ることも重要です。何のために作られたものなのか、さらには誰をターゲットにしたものか。開発側の視点としてはツールを設計する際には当然こういったことを検討するわけですが、ユーザとしてそれを汲み取るわけです。
それによって今後の機能強化の方向性が見えてきます。つまり現在できなくても今後できるようになること。そしてこの方向でのサポート・カスタマーサクセスを提供してくれる期待を持てるかもしれません。また何よりそれがツールの強み、得意分野になります。
一つのツールにすべての要件を求めるのは無理がある話で、ツールの得意分野については期待するが、そうでない分野については期待しないというのも有力な考え方です。そこは違うツールを使うわけです。適材適所で複数のツールを使う。そうなるとツール間でデータを共有・連携できる仕組みが重要になります。実はデータ連携というのはあらゆるケースにおいて基本的で重要な要件なのです。
ツールの組み合わせを設計することになります。難易度は上がりますね。たとえば自社にとってCMSとしてはツールAが最適であるとします。あるベンダはCMSとしてのツールAに強いが、同時に計測ツールであるツールBも推してくる。しかし計測ツールとしては本来ツールCのほうが適しているというケース。こういった場合に地雷であるツールBを踏まないようにしなければならないのですが、このベンダにとってはツールBを売らなければならない(大人の)事情があって、そのためにBを推してきている。このようなケースも多く、選定の際にベンダとは別のニュートラルな視点で判断してくれるパートナーの存在がある程度以上の規模のプロジェクトでは重要です。
■導入後の自分たちの姿を想像する
そのツールを導入した1年後、自分たちがどのような姿になっているのかを思い描くことが大切です。
「マーケティングオートメーション」などと言っても、すべての業務を自動で担ってくれるツールはありません。人間が扱う必要があるものです。それは分析であり、運用であります。
ツールを活用し、実際のビジネスを進めていく全体の業務フローも同時に考えます。何らかの施策を実行するのであれば企画やクリエイティブ作成も付随します。マーケティングオートメーションの最大のボトルネックはクリエイティブ作成です。
業務フロー全体を考え、誰がそのパーツを担うのか。社内、もしくはパートナーのリソースを踏まえて。たとえば社内のフレキシブルに動けるところにエンジニアがいるかどうか。さらにそこには人事制度もありますよね。人材ローテーションが頻繁に発生するのであればそれも考慮する必要がある。
中には自社内では極力人的リソースを割きたくない、割けない事情があるケースもあると思います。それの是非はともかく、前提条件としてはよくある事情です。そういったケースでも体制としてビジネスとしては成功に近づけることはある程度可能です。
あまりに規模が大きくなると、なかなかそういった想像もしにくいと思います。その場合はPoC的な導入も有力な選択肢です。一部の部署で導入を開始し、運用フローを構築する。そして全社展開をする。
DX体制の作り方、導入するツールに普遍的な唯一の正解はなく、自社との相性で左右される。だからこそこういったことを考えて進めることが重要です。
東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。
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