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■プライバシーを取り巻く世界観の転換

昨日cookieなど計測におけるプライバシー対策のセミナー「プライバシー保護とITP解説 GAなどCookieデータへの影響と対応は?」を開催しました。今回のセミナーの準備で国内外のプライバシーに対する取り組みを調べましたが、世界の動きの流れとして計測に対する考え方が180度転換されていることは間違いないです。これまでは

取得できるデータは何でも取っておこう、できる限りつなげよう。それをどう使うかは後で考える

という姿勢の人たちも多かった。しかし今後は

データ取得そのものが不自由な社会。その中でどのように可能なデータを取得するか。

という世界観に変わります。

そのためにはデータ取得戦略は意識しておくことが重要になります。データを取得するのであれば同意をとる。その仕組みと見せ方をどうするか。そしてやりたいことに合わせて計測設計をし、技術的にできない部分をどのように穴埋めするかという発想がより重要になるでしょう。

そしてそのようにして得られたデータからアウトプットを作る。ログ分析は重要なのですが、行動データを取得できないユーザも一定数存在する。そしてデータをつなぐ難易度も上がります。つまり本来同一ユーザの行動がフラグメント化されて記録されてしまうことも出てくるでしょう。

そのような中でいかにして満足のいくアウトプットを出すか。このようなID単位の分析でなく、集計ベースでのアプローチの重要性も見直されます。Google広告のAds Data Hubなどはまさにそのアイデアです。

■ITP対策の実装とそれでも解決できないこと

GTMのサーバサイドタギングはYahoo!タグマネージャーのサーバダイレクト方式のアイデアを実現しようとしているソリューションです。サーバサイドタギングがGoogleアナリティクス以外のタグでも使えるようにするためには、それらのタグベンダがGoogleに協力する必要があります。そこに到達するまでには時間がかかりそうなので、当面はサーバサイドタギングはGoogleアナリティクスのITP対策を実現するものです。それ以上でもそれ以下でもありません。

それ以外のタグが発行するcookieは別途JavaScript生成cookieをサーバ生成cookieに置き換える実装が必要になります。GTMとYTMのタグにそれぞれ実装したタグをサーバサイドcookie化するのは至難の業ですが……

ある程度正確な計測をするためにはITP対策は必要となります。しかしそれはファーストパーティcookieを救済するものであって、サードパーティcookie問題を解決するものではないという点には留意が必要です。サードパーティcookieはいずれ使えなくなります。リマーケティング広告は使えなくなります(現在リマーケティング広告でリーチできているのはほぼChromeユーザだけです)。リマーケティング広告ではない違う広告配信の手法を今から切り開いていく試みは必須です。

一部気にされている方がいるかもしれませんが、ローカルストレージを使う選択は考えなくていいです。どうせcookieと同じ7日しか保持されないのだから。

昨日は中身が多かったので昨日の時間だけだと消化不良になったかもしれません。資料は配布されるので、じっくりご覧になって復習していただければ幸いです。

コラム担当スタッフ

柳井 隆道

Option合同会社
代表社員
マーケティングテクノロジスト
marketechlabo

東京大学を卒業後、webマーケティングやサービス企画、システム開発などに従事。
デジタルマーケティングの世界に落ち着き、事業会社、広告代理店を経て2014年に独立。
現在は大小さまざまの事業会社、広告代理店などに対して、テクノロジー観点からデジタルマーケティングの支援を行っている。データ計測の設計、実装から分析、マーケティングオートメーションや広告運用などの施策との連携まで扱う。
さまざまな規模の経験から、企業の身の丈にあったデジタルマーケティングの企画に強い。フリーランスで活動していたが、2017年から法人化。

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