コラムバックナンバー
メールマガジン2016年11月16日号より Rejoui 菅 由紀子
前回メールマガジンは「分析を学ぶために大切な事」についてお話しし、目的の明確化や、その目的にあった学習方法を選択すること、そして自身がよく把握している領域のデータで分析を実践してみることを挙げさせていただきました。さて、「学習する」という行動においてもテクノロジーの活用は進んでいます。EdTech(エドテク/Education Technology)と呼ばれる領域です。2020年度を目処にデジタル教科書を導入するという方針であることが文部科学省から示されましたが、音声や動画などを用いて学習することで、学習効果が高まることが期待されています。
「デジタル教科書」20年度導入へ 文科省専門家会議が案
私は、音声や動画などをその場で再生できたり地図や写真を参照できることよりも、学習者がその教科書を「どのように用いたか」という行動履歴が取得できることのほうが興味深いことであると考えています。当然、書き込みもできる端末になるでしょうし、テストの回答や成績などもその教科書に記録がされていくことでしょう。端末を用いてe-learning で動画視聴で学習するのであれば、どの時点で離脱したか、視聴態度はどうだったか・・・といったことも取得でき、これらも活用できるようになるはずです。
そうすると、学習者それぞれの興味・関心、得意・不得意分野、習熟度が把握できることになります。それらが把握できれば、興味・関心に応じた学習コンテンツを出し分けたり、不得意分野の効果的な学習方法を提示したり、習熟度に応じたレベルの問題を出し分けるということが学習者個別にできるようになるはずです。
このように学習者の習熟度や興味・関心に応じてレベルや内容を個別に提供する学習方法は [アダプティブラーニング] と呼ばれています。現在は課題の進捗状況やテスト成績の記録からデータを分析し、学習者に適したものを提供するということが行われているケースが多いようですが、データ分析の技術、そしてIoTを始めとしたデータ取得の技術が高まることにより、この領域の進化は加速度的に進むのではないかと思っています。
学ぶ本人にとって最も望ましいのは「自分の理解度に合った最高の教師を見つけること」であると思いますが、それをテクノロジーが提供する(=人工知能が先生になる)、そんな時代はもうすぐそこにやってきているように思います。
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