コラムバックナンバー

3年先ですら想像できない時代になってきましたが、そんな年初に相応しいコラムにしてみました。

「2020年には無くなっている仕事」みたいな記事を目にされたことがあると思います。古い記事ですが、日米で下記のような記事があります。

経済のプロ40名以上が明かす、ロボット時代に「生き残る会社」「なくなる仕事」~2020年の日本を大予測!(2013年7月25日 現代ビジネス)

Jobs Outlook 2012: Careers Headed For The Dustbin(2012年2月7日 Forbes)またレイ・カーツワイルは、人工知能が科学技術の進歩を支配する技術的特異点が2045年であると予言しています。

技術的特異点(Wikipedia)

難しい議論は置いておいても、簡単な仕事はどんどん機械に取って代わられるのは間違いないでしょう。このコラムを読んでいる皆さんの多くが多分該当すると思うのですが、「データに基づく各種施策の立案と実行による成果の創出」という仕事は、どうなっていくのでしょうか。

すでに一部で、運用の自動化の動きがあります。例えばAdWordsでは、コンバージョン オプティマイザーという、自動的にコンバージョンの最適化をしてくれる設定が存在します。Google アナリティクスでも、スマートゴールという機能がリリースされました。株式会社WACULが提供する、自動的にサイトの改善案を提案する「AIアナリスト」というツールも出てきています。

最近ではIBMの「Watson Analytics」もあります。このツールは、様々なビジネスデータを対象にして、自然言語で質問できたり、どの分析モデルを使えば有効であるかまでアドバイスすることができるようです。

この辺りの動きをどう読み解くかということですが、個人的には悲観していません。何ごとにも役割分担があります。機械に任せて、自動化や省力化ができることは、積極的に取り入れた上で、人の判断の方が優れている部分に僕らは注力すればいいと思うからです。そしてその部分が消えることはないと思います。

しかしその前提としては、例えば機械学習というのが、どういったアルゴリズムで動き、どういう性質をもっているのかという理解が欠かせません。

今のところ私なりに解釈すれば、機械学習が有効なのは、分析対象となるデータが一定以上のボリュームがあることで、機械学習の「学習」の部分が快適に進むことが前提にあると理解しています。

上に挙げたAdWordsの「コンバージョン オプティマイザー」の例でも、新機能として導入された当時はあまり成果が出なかったけど、最近は成果が出るようになったという話を聞きます。実際のアルゴリズムはわからないので真相は分かりませんが、データが増えることで学習の精度が高くなっていくのが原因の一つで、もう一つはアルゴリズム自体の進化によるのだろうと推察します。

一つ目の原因が正しいとすればですが、「こういった自動化がすべてのケースで最適解をすぐに導き出せるようになる」などという世界は、将来にわたって実現することはないでしょう。

例えばウェブサイトを分析自動化対象とする場合で考えると、利用者の規模が中くらいのサイトで、この自動化が適用できる可能性が高いけど、それ以外では、人間の判断や経験によるチューニングの方がよりよい結果を導き出せるのではないかと考えています。

超大規模サイトでは、自動化で横並びでそれなりに成果を出すことでは差がつきませんから、どうしても個別のチューニングを人がやらないといけないでしょうし、逆に規模の小さいサイトでは、機械学習できるほどの成果の量が溜まらないので、当たり前のことを人が着実にやるしかないと思うからです。

運用型広告関係者の「技術に寄り添え」という話をよく聞きますが、技術を敵視するのではなくうまく使いこなし、本来人間が得意なデータの品質管理、判断、実行、コミュニケーションといった分野で、僕らの価値を出せばよいのではないでしょうか。

今でもあまり付加価値の高くない仕事は、将来間違いなくお金を頂くことは難しくなると思いますが、より専門性の高い、あるいは、様々な知見を持ち合わせていることで付加価値を付けられるサービスは生き残るでしょう。そのようなサービスの絶対量が減る世界は私には考えられませんが如何でしょう。

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