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デジタルマーケティングを推進するとき、縦割りの組織間で、どう連携し、パフォーマンスを上げていくか? その課題は、各企業で、日に日により現実のものになって来ていると思います。
もちろん、私がお話を聞く中で、連携がうまく行かず、進まない事例もあれば、逆にうまく行っている話を聞く場合も増えています。世の中うまくいかない話ばかりだ、と言いたいわけではありません。
先日も、株式会社オークローンマーケティングの今氏、吉田氏にご登壇いただいたパネルディスカッションで、部門間連携の課題を乗り越えた事例をお聞きすることができました。
ひとことでまとめると、それは「強み」を共通理解した連携がうまくいったと言えます。オークローンマーケティングは、ショップジャパンを運営していますが、テレビショッピングという販売チャネルは、商品をお客さまにどう売るか、そのストーリーを徹底して追求する「強み」があります。
一方で、テレビショッピングで培った成功体験を、ウェブや他のデジタルチャネルでも、同じように適用すればよい、という姿勢になりがちです。そこで、ウェブの部門から、ウェブのユーザーは、テレビとは違うのだ、ということを論理的に説得しようとしてもうまく行きません。

部門間の連携がうまく行かない時、とかく、論理的な説得で進もうとしがちです。しかし「説得」は、一つ間違えると「部門」対「部門」、「担当者」対「担当者」の勝ち負けになってしまいます。
特にウェブの場合、やってみないとわからない場合や、トライしてみて修正していくことも大事なので、「説得」が「失敗」を許容しない着地点になってしまうと、たとえ一歩進んでも、そこで行き詰まってしまいます。そんな場合は「説得」からギアを切り替える必要がありそうです。

今氏の経験談では、商品部門から成功体験をウェブに移植する、という考えが強く、ウェブ側からA/Bテストなど実験をしながら変えていく、という提案は、それとは逆の発想に見えて、なかなか受け入れられなかった、というお話でした。
しかし、現在はまったく逆です。ウェブ上のテストを各商品担当者が、積極的に行っていく形に変わっています。

一度、ウェブの改善から、小さな成功体験を一緒に積んだことで、その車輪が回りはじめたのですが、一回車輪がまわりはじめた後、改善のスピードは一気に速くなったようです。
その過程で、対立から、一緒に走る並走へと、目線が変わるきっかけがあったのでは、と私は感じました。小さな成功体験からはじめよう、というのはよく言われることですが、成功体験の先にもう一つ、スピードを上げるポイントがあると思いました。

ウェブは確かに、ストーリーの語り方も、顧客の反応も、テストの仕方も違います。だからといってその違いに注目して、説得していると、なかなか進みません。
実はテレビショッピングを推進してきた商品側も、今の成功に至る根底には、顧客の立場にたち、テストの積み重ねで成功体験を積んできた「強み」がありました。それを、違う形ですが、ウェブでも開拓していく。両部門が同じ目線になったとき、車輪のまわり方は速くなったのだと思います。

なぜ、最初の一歩がうまく進まなかったのか不思議になるような話ですが、実はどの会社でも最初の一歩までは、同じ会社にいることで余計に「違う」点に注目してしまうのかもしれません。営業とウェブ、店舗とウェブ、違うように見えても、目線を変えれば「強み」は共有できるはずです。
「ウェブは違うのです」という説得を続けるよりも、相手部門の「強み」に注目し、そこで目線を合わせる姿勢が、壁を突破するきっかけになるのではないでしょうか?

関連するセミナーの活動報告はこちら。
「IBS x a2i アナリティクス公開相談会 ~ 企業の課題をエキスパートが
その場で提案 ~」(2015/10/6)

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