コラムバックナンバー
メールマガジン2015年10月14日号より ALBERT 菅 由紀子
前回のコラムでは、秋の夜長にオススメの図書をご紹介いたしましたが、今回は映画やドラマの配信サービスについて、ここ最近の話題に触れてみたいと思います。2015年7月頃は、各社の定額制の音楽ストリーミング配信サービス(LINE MUSIC、AWA、Apple Music など)のプロモーションが非常に活性化していたように思います。Apple Musicの開始がその契機となったかと思いますが、どのサービスも、だいたい2~3ヶ月の無料期間が設けられており、プロモーションをキッカケとして利用を始めたユーザーにとっては、今月~来月は無料期間が終了するタイミングに差し掛かっています。7月中旬頃は、専門家による比較記事も多く見かけましたが、現在のタイミングでの利用者の評価はどうなるでしょうか。とても楽しみです。
さて、非常に似たような領域で、動画配信についてはどうでしょうか。こちらも、1ヶ月に決められた金額を払い、提供されるコンテンツをオンデマンドで好きなだけ視聴できるというサービスが各社から展開されています。ブロードバンドの普及後しばらくから、このようなサービスは多くありましたが、近年は提供コンテンツも増え、提供サービス会社もかなり多くなり、提供価格も下がってきたように感じます。
なかでも、動画配信サービスNetflixが9月1日に日本に上陸したこと、同じタイミングでAmazonがプライム会員向けの動画見放題サービスを開始したことも大きな変革であったと思います。
こういった定額制のコンテンツ提供サービスの場合、利用者が契約を継続するモチベーションとしては、利用しやすい料金であることの他に、コンテンツの鮮度や読み込みの速度などが挙げられると思いますが、私個人は利用者としてコンテンツの種類数が豊富である、という点が非常に重要であると思っています。
コンテンツが膨大となると、自分が好むコンテンツをいかにして見つけるか?という点が課題になります。提供側も、より好まれるコンテンツをいかに提示出来るかがビジネスの鍵でしょうから、そこは各社ともデータ分析力を駆使したアルゴリズムを用意しているのだろうなと思い、私自身はその点も考慮しながらサービスを比較しています。
初めて訪れた時点で何が表示されていたか、いくつかページを経た後、会員登録した後、何か視聴した後に何がレコメンドされるか。アクションが少なくとも、好みだと思えるもの、驚きや発見があるものを提示してくれるサービスは、そのサービスに接触すること自体が楽しみとなります。
その点では、かつて1億円の賞金をかけてレコメンドアルゴリズムのコンペを行っていたNetflixのレコメンドには非常に期待しています。
◆賞金100万ドル。史上最大級のアルゴリズム・コンテスト「NetflixPrize」がついに決着 (2009/09/24)
Netflix では、利用登録が完了した後に「興味のあるものを3つまで」選択することが促されます。その選択内容から次ページに遷移すると、様々な種類の「おすすめ」が表示されますが、それらはおそらく世界各国の他ユーザーの行動ログや、コンテンツ内容の解析によって、「類似性が高い/それらを選択するユーザーにとって価値がある」と推測されたものが提示されています。前述のコンペの際のアルゴリズムや、その後の研究の成果などが活かされているのではないでしょうか。
Amazonプライム・ビデオでは、カテゴリページのトップページは新作・人気商材が多い印象を受けますが、それが私のこれまでのアクションによるところかどうかは分かりかねるところです。コンテンツの詳細ページでは、Amazonで取り扱いの他商材と同様に、「この商品をご覧になったお客様はこんな商品もご覧になっています」というレコメンドが表示されます。
こういったコンテンツ配信サービスは、コンテンツも膨大でレコメンドを行うことによるユーザーの回遊性向上、利用率向上が期待しやすいと、以前より言われてきました。ユーザーの嗜好を精度高く推測する手法も、データを取得する技術も、施策を実行する技術も加速度的に向上している現在、新たに展開されるこれらのサービスに対しては、アクションを1つ起こすごとに、どのようなレコメンドが行われるのか非常に興味深いと感じます。
Netflixも無料期間を終えた方が出てくるタイミングですので、利用されたことの有る方には、ぜひそういった点も含めて感想を聞いてみたいところです。
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