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前回の私のメルマガで「殆ど見ないレポート」の具体例として「経路分析」レポートを挙げましたが、今回はその続編です。
経路分析レポートは殆ど見ない。ではその代わりに見るレポートは?グラフが美しいから、あるいは表が複雑で見栄えがいいからといって、分析の効率を上げるとは限りません。今回は、その具体例として「モーション グラフ」と呼ばれるビジュアルなグラフや、高次元の表を取り上げて考えてみます。
まず、モーション グラフについて説明しますが、以下の動画が参考になると思います。
Motion Charts in Google Analytics

簡単に説明すると、Google アナリティクスのレポート上部はグラフ表示部になっていて、折れ線グラフが表示されているレポートが多いのですが、一部のレポートではこの表示を「モーション グラフ」と呼ばれるグラフ形式に切り替えることができます。

このグラフは、3つの指標で構成されるバブルチャートに加え、時間軸とバブルの色を加えて、最大5次元のデータをグラフで表現します。

例えば参照元別に、セッション数をX軸、新規セッション率をY軸、コンバージョン率をバブルの大きさに指定し、直帰率を高い順に青から赤へ変わる色に指定して表示するとします。これに日別の時系列で動きを加えるのです。4指標と時系列推移が加わるので、ここではこれを5次元と表現しました。

特に時系列での動きがあると、ビジュアル表現が印象的なのですが、表現が豊かだからといって、課題や解決策を発見できることにはなりません。

少なくとも私には、先に挙げた例で時系列で動かすことをしない4次元でも、このデータからパッと課題や問題点を発見する能力はありません。3次元のバブルチャートまでは許容範囲ですが。

そのためこれは私が殆ど見ないレポートなのです。ごく一部の特殊な能力を持ち合わせた方以外は、私と同じようにせいぜい3次元の時空識別能力しか持っていないと推察します。

実は折れ線グラフや棒グラフなどのグラフでなく一覧表形式のデータも、並べる指標の数が多ければ、すべての関係性を一目で読み解き、課題の抽出と解決策を導くことは困難です。少なくとも私にはできません。

例えば上記の例と同じで、参照元別(表側)にセッション数、ページ/セッション、平均セッション時間、新規セッション率、直帰率の5指標を表頭に並べたレポートを見ているとしましょう。これも言ってみれば5次元のデータセットです。

私がこのデータをどう見るかご説明しましょう。例えば直帰率の指標の列をまず見ます。悪い(高い)ものがあったら同じ行を横に移動し、その参照元とページ/セッションと平均セッション時間、新規セッション率の指標を順番に確認します。

そこでこれはやはり問題だという確信を持ったら、次は別のレポートを見にいきます。先ほどのところで気になった参照元とランディングページの組合せのレポートです。どのランディングページの組合せの時に直帰率が悪いのかを今度は見ていきます。こんな具合に進めます。

実はやっている作業は、表の列と行の交差する部分を順番に見ているだけ、つまり、私は2次元の処理を繰り返しやっているだけです。表形式だと一度に注視できる列は一つだけなので、表全体は高次元のデータセットが表示されていても、高次元の処理はしません。

実際どのように細かく数字を目で追っていくのかという説明で、文章ではお伝えしにくかったのですが、何か特殊な技能や能力が必要な訳ではないということが伝わったらそれで十分です。

もちろんグラフ化を否定している訳ではありません。お伝えしたかったのは、課題発見の探索のためには、高次元のデータを複雑にグラフ表示しているレポートを見るのは効率が悪いですよということでした。

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