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先週の大内さんのメルマガで、「できること」よりは、「できない場合」や「しなくてよいこと」など、「引き算」の発想の必要性を感じるという話がありました。
引き算がアナリティクスの「これから層」には大事実際に、どのレポートをどう使うか、と同じくらいに重要なのが、どのレポートを使わないかということなので、私が行っている講座でも、実は「このツールのこのレポートは自分は使わない」という話をしています。

私が「殆ど見ないレポート」は幾つかあるのですが、特にビジュアル表現が面白いものの中に多いです。それらは面白く、かつ見ていて飽きないのですが、分析の役に立つということには必ずしもなりません。

「殆ど見ないレポート」の具体例ですが、「経路分析」レポートです。ここで言う「経路分析」は、入口ページから次の遷移のトップ10を遷移図で示し、さらにそれらの次の遷移のトップ10といった具合に、膨大な毛細血管のような絵が広がっている、あの「経路分析」のことです。

この毛細血管レポートを見て、ここが詰まっているから、直した方がよいですというアドバイスが可能だった経験は、一回しかありません。その例は具体的に細かくお話しできませんが、最も太いページ遷移だった4ステップのページ閲覧から明らかな不都合が読み取れたのです。

このケースはたまたまその太い線の流れが、際立っていたという例です。様々な動機で多数のランディングページから閲覧を開始し、大量に存在する各種ページを次々と見ていくことができる普通のサイトでは、まず考えにくい利用パターンと言えるでしょう。ですから、そんな単純な発見をデータだけから察知することはまず不可能だと考えています。

では、ページ遷移のデータを使わないのかと言えば、そんなことはありません。別の幾つかの方法でこの毛細血管を、もっと違う形で見ていくレポートを活用します。

具体的には大きく二つの方法があります。一つは特定のページを基点にして見るという方法。もう一つはカートから購入まで、などの、ほぼ一直線に進むはずの数ステップだけに焦点を当てて見るという方法です。

前者はさらに二つの方法に分かれます。一つはランディングページと次のページのセットで見る方法。もう一つは特定の重要なページを基点として、前後のページ閲覧だけ見るという方法です。無限に発散した経路パターンの明細を見るのではなく、特定のページの前後の繋がりだけを見るというやり方です。

Googleアナリティクスのレポートで言えば、前者は「ランディングページ」レポートの「入口からの遷移」タブを選択して見ることのできるレポート。後者は「すべてのページ」の「ナビゲーションサマリー」タブを選択して見ることのできるレポートです。

カートから購入までの数ステップだけに焦点を当てて見る方法は、目標到達プロセスのレポートを見ます。

さらにこれらのレポートにセグメントを掛けたり、他の分析手法と組み合わせたりして、問題解決のヒントを探っていくようなことが必要になります。しかし、目を皿のようにして毛細血管レポートと睨めっこするよりは効率よく、問題点や課題のヒントを探すことができると思います。

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