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先週、東京と名古屋で合計2回、木田和廣氏を講師に迎え、Googleアナリティクスの初級セミナーを開催しました。
どちらの会場も、これまでセミナーに参加していなかった新しい参加者で一杯になりました。セミナー終了後、30分ほど、木田氏に加えて、大内なども参加する形で、参加者からの個別相談を受け付ける席を設けました。
こうした取り組みを通して感じるのは、新しくアナリティクスに取り組む「これから層」は、まだ増え続けているという実感です。私が最初のGoogleアナリティクスの書籍を出版したり、本格的に取り組み始めたのが、2006年ごろですから、ほぼ10年近くがたっています。あるいは、私たちが少し早すぎて、本格的な波はまさに今はじまっているのかもしれません。

セミナーと相談会を通じて感じたのは、2つのことです。いずれも「できること」よりは、「できない場合」や「しなくてよいこと」など、「引き算」の発想の必要性を感じました。

一つは、目標決めや、KPI設計について、引き続き課題が大きいな、ということです。アンケートもそうですが、「eコマース以外の目標定義、KPI設計」をどうするか、という点が依然大きなウェイトを占めています。たとえば、こんな質問です。

– 目標が定義されていなくても改善は可能なのか? どう取り組めばよいのか?
– 会員登録のプロセスなど、完了プロセスでいったんメールなどを経由する場合にどうすればよいのか?
– オフラインで交渉事が決まるB2Bなどではどうすればよいのか?
– メーカーサイトや卸で、直接の販売や顧客とのコミュニケーションがない場合、他社はどうしているのか?

つまり、「できない」時に、どう対応したらよいのか?どのレベルで進めればよいのか、という悩みです。

長くアナリティクスに関わってきている私たちにとってみれば、いつか来た道なのですが、一方で、こういった基本的な問題に、まだわかりやすい答えを、ちゃんと解説した場がないのだな、ということを実感します。
これは私たちの責任でもあります。「できない状況」とどう向き合うか、その説明がとても大事だと思います。

もう一つは、「何をしなくてよいのか? 何をしてはいけないか?」が知りたい、という声が多い点です。
木田さんのセミナーでは、その辺をきちんと説明していますので、「何をしてはいけないか」がわかってよかった、という声がセミナー後に寄せられます。相談会でも、たとえば「Googleアナリティクスのセッション時間の定義は、現実に合わせて調整したほうがよいのか?」といった質問がありました。答えは「セッション時間の定義は変えないほうがよい。実際に変えてる例も極めて少ない」となります。理由は、その状況に応じて違いますが、セッションそのものが不安定なデータなので、正確さを追求してもメリットは少ないこと。変えたことで、前後でデータが混乱したり、他のサイトとの比較が難しくなるなど、不都合が出てくるということです。「してはいけないこと」を説明することがありがたい、というのも、今回改めて心に留めた点でした。

アナリティクスの世界は、どのツールも次々と新しい機能が出て、目覚ましい進化を遂げています。カスタマージャーニーマップなど手法も増えています。人はどうしても、新しいものをたくさん紹介したくなります。講師としても、セミナーを開催するとなれば、やはり新しいものに焦点をあてて、説明したいと思うでしょう。

しかし、ツールの機能や手法が増えれば増えるほど、「できない場合にどうするか?」「何をする必要がないか?」といった引き算の発想と、丁寧な説明が大事になってきていると感じました。

9月初旬にいちしまさんと大内で、「KPI設計」の基本についてのセミナーを開催予定です。そこで、こういった点が説明できればよい、と思います。

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