コラムバックナンバー
メールマガジン2015年3月18日号より 真摯 いちしま泰樹
ECサイトをはじめ、レコメンドエンジンを導入するサイトも増えました。そこまで至らなくても、CMSのプラグインなどを用いて自動で関連ページを提示したり、手動で関連ページのリンクを設けるといったことは、広く取り組まれています。
レコメンドの目的は何でしょうか? 購入単価の増加、コンバージョン件数の増加、類似商品との比較検討、行動の促進、などが挙がるでしょう。ただ、そこに「顧客満足度を上げる」という意識がなければ、短期的、単発的な結果に終わってしまうのでは?と思います。レコメンドは「提案」です。顧客の体験価値が上がらなければ、次からは提案は聞いていただけません。
先日、ランチを食べようとあるレストランに入り、僕はフレッシュトマトとチーズを使ったパスタを注文しました。
いちしま「この、フレッシュトマトとチーズのパスタをください」
店員さん「ありがとうございます。ご一緒にサラダはいかがですか?」
いちしま「えーっと、じゃあ、サラダはどれがおすすめですか?」
店員さん「そうですね……」
店員さんは答えに詰まってしまって、残念ながらおすすめのサラダを聞くことはできませんでした。新入りのアルバイトからベテランまでさまざまな従業員がいらっしゃるので、おすすめメニューをすらすら挙げてくれることを過度に期待してはいけません。その店員さんは、お店からは「(とにかく)サラダを一緒にすすめてください」とだけしか教わっていなかったのかもしれません。
なぜ「ご一緒にサラダは?」とおすすめするのでしょうか? お店にとってのメリットの一つはもちろん「売上の向上」です。客単価が上がり、その日のランチの売り上げが伸びます。
もう一つ、「サラダのおいしさや価値を知っていただくこと」があるはずです。おすすめのサラダがあったり、野菜の産地や生産方法にこだわっていれば、お店としてはぜひお客様に召し上がっていただきたいものです。
客にとってのメリットは何でしょうか? 「価値ある体験」です。サラダそのものがおいしかったり、こだわりの素材や産地という付加情報だったり、メインの料理との組み合わせの妙だったり、あるいは健康への意識を満たすものだったり、などなど。会計時に「サラダを頼んで良かった」と思わなければ、その後は追加のサラダをわざわざ頼みません。
さて、あなたが店員さんなら、おすすめのサラダに何を提案しますか?
(1) お店として売りたいサラダ、新商品
(2) 売れ筋の定番のサラダ
(3) 店員さんが好きなサラダ
(4) お客様が注文したメニューに合うサラダ
質問は「サラダはどれがおすすめですか?」ですので、文字通りに受け止めれば「(1) お店として売りたいサラダ、新商品」でも構わないかもしれません。しかし、「お客様に追加の費用で、より価値ある体験をしていただく」ということであれば、「(4) お客様が注文したメニューに合うサラダ」がベストでしょう。それが「お店からの提案」だと思うのです。
お酒やワインなら、そういった提案は比較的されているように思います。
さて、僕はフレッシュトマトとチーズを使ったパスタを頼みました。食事としてふさわしく、顧客満足度を上げる意識でサラダを選ぶのであれば、フレッシュトマトやチーズをふんだんに使ったサラダ以外で、お店は「提案」しなければいけません。
サイトのレコメンドエンジンや関連リンクは類似商品の提示のケースもあるので、すべてが「追加のおすすめ」というわけではありませんが、どう「提案」しているでしょうか。レコメンドエンジンであれば、例えば協調フィルタリングなど嗜好の類似したユーザーデータを用いていたりで、そこまでボンヤリした提案は少ないかもしれませんが、ルールベースもメンテナンスしていなければ「雑な提案」になっているかもしれません。手動のおすすめも、ランキングや新商品など「売りたいもの、売れているもの、話題のもの」ばかりを提示していないでしょうか。
「おすすめの提案」は、顧客の購入単価を上げると同時に、顧客の体験価値を上げなければいけません。仮に購入単価が上がっても、顧客の満足度が上がらなければ、次回の来店の見込みが少し下がります。提案が、余計なおせっかいに終わらないようにしなければいけません。
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