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アナリティクスのチームが成果を出すためには、データ分析から改善に至るまで、様々な社内のステークホルダーが関わってきます。そういった人々との協力関係なしには、ビジネスインパクトを持った改善は実行できません。
どうすれば信頼関係を作れるのか、答えは一つではなく、会社ごとに異なります。しかし、過去アナリティクスアソシエーションのセミナーで紹介された事例を見ていくと、そこには共通のエッセンスが浮かび上がってきます。
それは「他部門にビジネス・パートナーとして接する」ということです。
他部門を「クライアント」として意識する、と表現した方もいます。1) 他部門の現場の目線で改善案を考える
2) 他部門から貢献度の評価を受ける
3) 積極的に社内PRを実施する

具体的に事例から見て行きましょう。

アナリティクスアソシエーションのB2Bをテーマにしたセミナーで株式会社ネクスウェイ 浅井敏宏氏のお話です。思いっきりはしょって言うと、ウェブ担当者側が提供したデータを、営業側があまり活用していませんでした。
この課題を克服するために、決定的だったのは、営業現場との密な話し合いでした。時には飲み会などを通じて、深くコミュニケーションをする中で、営業の目線を持って、営業部門と一緒に「顧客」を考えたといいます。

リンナイ株式会社 福本啓史氏に紹介していただいた事例も同様です。メーカーのダイレクト販売という難しいビジネスを、ウェブ化率20%という高い割合に成長させました。しかし、最初はネットでのダイレクト販売が成功するわけはない、という圧倒的にアウェーな雰囲気の中で、社内調整がことごとく不調に終わります。
そこでネットのダイレクト販売の取り組みをアピールするため、社員向けの販促会イベントを実施したり、商品企画のアンケートをウェブ上で実施したり、まさに社内の人員を全員自分たちのクライアントとして、PRとコミュニケーションの努力を重ねます。

2014年のアナリティクスサミットの基調講演でご講演いただいた大阪ガスの河本薫氏は、ガス会社でアナリティクスの部門を認知してもらう際の課題とその克服の取り組みを紹介してくれました。15年前には他部門から門前払いだった取り組みが、現在は他部門からビジネス・パートナーとして認知されるようになったと言います。意思決定する際のデータ分析の貢献度を、常に社内で宣伝し、経営陣にも認知してもらうために、あらゆる努力をしてきたそうです。
現場とのコミュニケーションの重要性を強調し、それこそが日本の競争力の源だと言っていました。

分析をビジネスに活かす力は、数学力や統計力ではなく、仮説力であり、その鍵は必ず現場にあります。そして、データ分析から導き出された改善案を現場に採用してもらうために、他部門の心理的障壁をコミュニケーションによって打開していくことが必要となります。
その際に重要になるのは、まさに他部門の立場にたって、相手の話を聞く力だと言えるでしょう。そして、たとえ一時的に抵抗があっても、あきらめずに、もう一歩相手のふところに入っていく努力だと言えるでしょう。

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