コラムバックナンバー
メールマガジン2014年11月26日号より 衣袋 宏美
私は大体新しい流行り言葉を聞くと、懐疑的な姿勢で臨みます。最近では例えば「ビッグデータ」です。また新しいキャッチフレーズで、高価で動かないシステムを売り込みに来たか、懲りないなあと思う訳です。今までにも様々な死語がITベンダーを中心に唱えられ、いつの間にか忘れ去られてきましたので。
そんな中、「ビッグデータ」といった表層的な分かりやすそうなキャッチフレーズでなく、実は本質的な大きなうねりが来ているのではないかということが、ようやく腑に落ちてきました。今年も各種サービスを提供するベンダー側の動きは様々ありましたが、少しまとめてみると、例としては下記のような特徴があったように感じます。
・ITベンダーのデータ分析のイベントの開催頻度が高かった
・BIツールやタグマネジメントツールに関するセミナーも目立った
・DMPに関する協業などのリリースが多数あった
しかしこれは目に見える現象レベルの話でしかありません。このような背景の中、最近ある二つの記事を読んだのがきっかけで、新しい言葉に懐疑的な私が、確信に至ったのは次のことです。
「マーケターが技術との付き合い方が変わる重要な転換点に現在いる」ということです。以前から技術も最低限知っておくと有効だよという話はしていますし、そんなことに今頃気が付くのは遅いよと思われるかもしれませんが、原因と結果としての現象が繋がって腑に落ちたのです。
読んだ記事は二つですが、タイトルから想像しやすい記事だけ紹介しておきます。
「すかいらーくが業務部門主導でデータ活用に挑む理由は基幹系と情報系でマインドセットが異なるから」
「重要な転換点に現在いる」という「転換点」の要因が何かを一言で言うと、マーケティングの現場における情報処理(データ分析もその一つ)が変わったことです。それが各種のベンダーの動きにどう繋がっているのかについては長くなりそうなので、説明は省略しますが。
上で紹介した記事タイトルが、その内容を的確に言い当てています。補足すると、マーケティングのために使う情報システムは、堅牢性やセキュリティなどより、もっと現場がスピーディーに使いやすく、柔軟性を持っていなければならないので、基幹系システム(例えば会計のシステム)とは全く異質だということです。だから必要なものは現場主導でやらせてもらいまっせという流れです。
では、このスピーディーで柔軟性が必要な情報システムと上手に付き合っていくためにマーケターはどうしたらよいのでしょうか。記事を紹介したすかいらーくでは、マーケティング本部の中のデータ分析を担当するグループ自体が情報システムの調達もこなして、ニーズにあったシステムをスピーディーに利用する環境も構築したということです。
しかし大企業でも分析専門部署がマーケティング部門の中にそうそうあるとは思えません。まずはマーケターの身近なところに手伝ってくれるエンジニアがいなければ、成果を上げる仕事がしにくくなっていないかを確認することでしょうか。
タグマネジメントツールもDMPの導入も運用も、社内がいいのか社外なのかはともかくとして、すぐに対処してくれる技術パートナーがそばにいなければ、もう回すことはできない状況に来てませんか?
残念ながらそういう状況が進んでいるようであれば、身近にそういう人材を置いてもらうことなど、現場が出来ることから始めるしかないのではないでしょうか。
中小企業の私には関係ないと思っていませんか?皆さんも安いクラウドサービスや安いセルフ型ASPとか使ってますよね。良かれと思って導入してきたが、気がつくと周りは様々な技術に囲まれ、突然システムが動かなくなってもさっぱりわからない、そんな将来もあっという間に来そうです。
今起きている地殻変動の本質を受け止めて、自社の場合、技術との付き合い方をどう行うのが適切なのかを、改めて問う時期に来ているような気がします。しかも悠長に構えている時間はなさそうです。
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