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マーケティング活動を行う上で重要なデータはたくさんあります。顧客データ、売上げデータ、在庫データ、財務データ、アクセスログなど。

雑誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』の8月号では、マーケティング活動における重要データのひとつとして、「オンラインレビュー」を挙げています。オンラインレビューにはじまるテキストデータそのものは数字ではありませんが、これらをうまく使えば、立派なマーケティングデータです。同誌では、顧客の購買決定は以下の3つの要素が影響しているとしており、
【P】信条や経験:XXブランドしか買わないといったこだわりや、自分が使ってよかったもの(prior preferences, beliefs, and experience)
【M】マーケターからの情報:CMやイベントなどのプロモーションやパッケージや価格など(information from marketers)
【O】他の人々や情報サービスからのインプット(input from other people and from information services)

これらは商材によって影響度合いが異なり(たとえば【O】の影響度が高まれば、【P】か【M】、またはその両方の影響度が下がるといった関係にあること)また、近年多くの企業では【O】の影響力が増していることにも触れていました。

確かに私が昨年某メーカーで新規購買者に行った調査で、購買に『最も』影響する情報としてユーザーレビュー(購入者の意見)を挙げた回答者が約3割いて、一昨年よりも増えています。

仮にこの会社の製品で毎月1000人新規購買者がいるとした場合、300人はユーザーが連れてきてくれたお客様という考え方ができ、年間にすると3600人となります。ひとりあたりの購入単価が1万円だとすると、3600万円の売上はユーザーレビューがもたらしてくれた価値と類推することもできます。

つまり、良いレビューが増えれば、新規のお客様は増えるということになりますから、良いレビューが書かれるように企業努力をする、つまりレビューの内容を把握しサービス・製品改善に役立てることは、マーケティング手段としてとても重要なことであると言えるかと思います。

ただ、レビューそのものは文章の連なりですので、単にレビューを上から読むだけだと、印象的な文章だけが目についてしまったり、そもそも量が多すぎて読めなかったりなどしてしまいます。ですので、私はレビューを分析するとき、主に以下の2つのことを心がけています。

● 関係者がアクションプランに落としこめるように整理する
良いレビューは、企業が様々な部分で本質的な改善を図らなければ増えませんし、そのためには関係している部署にきちんと共有、責任をもって対処させることが必要です。

おそらく多くの会社では、製品や機能で担当が分かれています。そのような場合、単にレビューをテキストで共有しただけだと、自分の担当のことが全レビュー内でどの程度のボリュームを占めているのか、このレビューがどの程度の問題の大きさであるのかが分かりません。また、多くの文章は複数の部署にまたがる課題を挙げていて、文章が冗長になるため、ついつい見落としがちです。

ですので私は、書かれているレビューを、店舗・製品・販促・カスタマーサポートなど、どの部署が関係するレビューなのかチェックをつけ、集計しています。

また、店舗なら掃除や接客、製品なら品質や価格などもう一段階細かく分類して問題点を切り分け、良いことについて書かれているのか、それとも悪いことなのかそれぞれ集計していくと、定性的なテキストデータも定量的に捉えられアクションに移しやすくなります。
(私は上記の集計と一緒に、該当するテキストデータも担当者に共有しています)

● できるだけ新鮮なうちに分析する
ユーザーのレビューは常に変化をしています。その時のプロモーション活動などにも左右されますし、ユーザーもレビュー自体は新しいものを参考にしています。

データは多いほどいいという話がよくありますが、データが多くなればなるほど、分析の手間もかかります。特にオンラインのレビューについては拡散性も高く、企業としては早い対処が求められますから、できるだけ短いサイクルでチェックしたほうが良いです。

毎日監視することが難しければ、週1回など定期的な監視の他、プロモーション時、新製品発表時などイベント発生時にアドホックで監視するなどしてみてください。

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