a2iコラム
2014年3月18日号より 真摯 いちしま泰樹
論理的に目標を設定することはビジネス上不可欠なことですが、その手助けをするのもアナリティクスの役目です。この数か月の間に、そういった場面を目にしました。
例えば、リードを獲得するタイプのサイトだとしましょう。この数年、キャンペーン施策の結果が社内目安の顧客獲得単価(CPA)を大幅に超過し、成果を挙げられずにいました。しかし、改めて冷静に数字を整理して過去データを分析すると、その目安としているCPAは、半ば思いこみのように低い数字で設定されていたものだとわかりました。過去のイレギュラーなキャンペーンのとても良好な結果が社内で語り継がれ、通常のキャンペーンと同列に扱ってはいけないにもかかわらず、「やればできる」と根性論的に設定され、定着したものだったのです。
改めて昨年度の実績を元に、現実的なレベルで予算と目標獲得件数を決め、そのバランスを見ながらCPAも設定し直しました。この取り組みを重ねることで、予算や人員配置も適切な状態に近づけられます。
もう一つの例です。ある部署は、次年度のウェブ経由の売上計画を立てる際、毎年なぜか結果のつじつまが合っているように見えるのをいいことに、「前年度の1.x倍」と、まったく同じ成長度で根拠なくエイヤで決めていました。これもよくある場面だと思います。
相談をいただいて取り組むのは、「新規ユーザーが過去実績から毎月n万人訪問すると仮定して、そのユーザーの向こう一年間のウェブ経由の売上を、昨年度の実績を元に予測する」、というものです。これを昨年度の売上に上乗せして目標として検討するのです。
目標設定にはさまざまな思惑が関与するので、過去実績だけから導くべきではありません。ただ、それを元に予算や人員確保も必要になるのであれば、乱暴な目標よりも、ある程度の根拠をもって論理的に目標設定をした方が、より「冷静に腹をくくれる」のでは、と感じます。
予測はあくまで予測です。業界や市場の傾向、景気といった不確かな「変数」も多くあります。それを前提としても、不確かな状態を少しずつ減らすことは大事なことです。アナリティクスはその一助になりえます。
ウェブがビジネスの中で大きな役目を持つようになり、牧歌的な分析は終わりを告げるのでしょう。
実はこの話は、「神山プロジェクト」の大南理事長の記事のある言葉がきっかけでした。
なぜ過疎の町に若者や起業家が集まるのか:日経ビジネスオンライン
引用します。
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過疎地における人口減少を止めることはほぼ不可能です。その現実は与件として受け入れたうえで、持続的な地域をつくるために人口構造や人口構成を積極的に変化させていく。人口減少は受け入れて、理想的な人口ピラミッドでバランスよく衰退しましょう。それが、創造的過疎の意味するところです。私が勝手に考えた言葉です(笑)。
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「バランスよく衰退しましょう」という表現が衝撃的でした。「創造的過疎」とも大南理事長はおっしゃっていますが、人口減少を避けられないものとして理解し、その中で冷静に試算し、建設的な施策を行っています。一発大逆転を狙うのではなく、根拠を持った論理的な目標設定です。読んで思い浮かんだキーワードは「冷静に腹をくくること」、それの力添えの役割を担っていたいものです。
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