コラムバックナンバー
メールマガジン2014年2月25日号より 石井 陽子
頑張って作ったレポートを、依頼者である上司やお客さまなどに「これじゃないんだよ」「使えない」など、ダメ出しを受けて辛い思いをしたことはありませんか?
いくら集計やグラフ化が得意でも、相手に伝わらないレポートでは何の意味もありません。また、レポートの受け手が次のアクションを取れるアウトプットでなければ、いくら時間をかけて作っても、その価値は「ゼロ」。
残念ながら、依頼者の方からレポートの要素や見せ方までを丁寧に指定されるようなケースはごく稀であり、むしろそれを提案できることこそデータアナリストの価値であると思います。レポートの細かいディティールまで依頼者(お客様や上司)に聞いていたら、私たちは単なる「作業者」という価値にとどまってしまいます。
このようなことにならないためには、「レポートが必要な背景を整理する」ことが重要だと思っています。整理するポイントとしては以下の3つ。
(1) レポートを何に使いたいのか
(2) 誰が必要としているのか
(3) レポートをいつ(タイミング)使いたいのか
これらはとても基本的なことですが、私はこのステップによってレポートの要件がほぼ決まってくるので、レポートの「価値」の8割方は、このステップを正しく踏めたかどうかで決まると思っています。
一つケーススタディを挙げてみます。
<Case StudyメーカーA社の場合>
A社は、商品の営業活動を販売会社と言われる提携会社に委託しています。販売会社は全国で数十社あり、本社のスーパーバイザーチームがその成績を管理。成績(予算達成状況や順位)いかんでは、翌年度以降の本社との契約条件の見直しなどが入ることがあります。今回の依頼は、四半期に一度本社が開催する販売会議に使うレポートの依頼です。
販売会議には各販売会社の代表者が集まり、成績や課題の共有をされたり、時に本社の方から発破をかけられたりするような場となります。レポートするデータとしては売上データの他、販売会社を経由して商品を購入したお客様の満足度評価があります。
それでは、先ほどの整理すべき項目にしたがって、レポートの要件を整理してみます。
(1) 何に使いたいのか
このレポートを使って本社の方が狙うゴールとしては、「販売会社にもっと頑張ってもらうこと」になるでしょう。そのためには、ランキングや全国平均との比較や、契約見直しが入る危険数値にどれだけ近いかなどを表しておけば、成績が落ち込んでいるところは現場に持ち帰って説明しやすくなる。何に使うか、つまり目的を整理することでレポートの切り口や見せ方が変わります。
ここで重要なのは、このレポートを使っているシーン(アクション)を想像することです。わからない時は依頼者に確認を。ここが想像できないと、レポートは無意味なものになってしまいます。
(2) 誰がレポートを必要としているのか
このケースの場合、レポートを必要としている人の種類は2つ。販売会社の代表者と、本社のスーパーバイザーです。
スーパーバイザーは各販売会社を管理する立場なので、全体傾向のほか、成績の良い(悪い)会社がどこかがわかりやすいものが欲しい。一方販売会社は自社の成績の詳細と全国の中で自社がどこのポジションにいるかを把握したい。
こうしたことを考慮すると、たとえランキング一つとっても、スーパーバイザーは全国のTOP/ワースト5を知りたいけれど、販売会社は自分の会社が何位かを具体的に知りたいという違いが出るわけです。
(3) レポートをいつ(タイミング)使いたいのか
今回のケースでは、四半期ごとの会議で使うという話でした。よって、前期との比較の他、季節変動商材であることも加味し、前年の同期比も加え、その変化を把握するということも要素に取り込みます。
レポートを依頼されたら闇雲にデータに手をつけていくのではなく、まずはこれらの要素を文章に書き出してみてください。文章に書き出してみると、埋められないところはヒアリングが不足していると分かりますし、整理できていない箇所はレポートの作業過程で露頭に迷う可能性があるところを示唆しています。
とても基本的だけど大事なステップとして、是非実践してみてください。
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