コラムバックナンバー
メールマガジン2014年1月28日号より 石井 陽子
ビッグデータブームと並走するように、最近周りで「取り組みたいこと」としてややブーム?になっていると感じるのが、サイトに来るお客様のニーズに合わせて最適なコンテンツを出し分けたり、メールをお送りしたいといった「One to One」のコミュニケーション設計のお話。
私は、このOne to Oneのコミュニケーションを成功させるには、そのお客様がなぜそのような行動をしたのか、背景を理解することが最も重要だと思っています。
そのためのデータの使い方として、あるECサイト(季節性の高いファッションブランドを取り扱うECサイト)を例にとってみます。ここで取り扱っている商品は、一定期間が経過すると、値引きをされセール商品として販売されますが、こうしたサイトにはセールの時だけ買いに来るという人がいます。
EC上の購買データやログデータだけを見ていると、「セール時だけに売上が立つ人」「セールだけに訪問してくる人」というセグメントに入れられます。こういう行動をしている人に対して、「どうせこの人はセールにしか反応しないだろうから、セールやキャンペーンの情報を中心に送ろう」というOne to One施策は正解でしょうか?
答えは「そうとも限らない」です。
実はこういう行動をする人にはいくつかのパターン(背景)が考えられます。たとえば、
パターン1 普段は店舗で買う。予め欲しい商品はチェックしているので、セール時はECサイトで買ってもいい。→店舗もECも使うけど店舗メインの人
パターン2 普段は他社で買う。セール時に在庫があれば別(当該ECサイト)のサイトで買う。→ブランドは好きだけどこのサイトにメリットを感じていない人
パターン3 このブランドの商品は、セールの時以外では買わない。
同じ行動でもこれだけ背景の違いがあるわけです。
にもかかわらず購買データでは、「セールでしかこのサイトで買わない」という同じデータになるわけですから、この方々に画一的なキャンペーンとして「セールの告知だけ送る」と決めてしまったら、このお客様との関係はずっとセールの時だけつながる収益性の低いコミュニケーションに落ち着いてしまいます。
しかし「セールで買わない人」がパターン1(店舗メインにしている人)であることが分かれば、店舗の入荷情報をリアルタイムにメールで配信して店舗へ誘導したり、ECでお取り置きして店舗で試着したりといった店舗誘導施策や、逆に店舗からECへの誘導施策として、店舗で買うのを迷った商品をECサイトのお気に入りに保存できたり、といったことができます。この人のブランドに対するロイヤルティ(売上貢献)はぐっと上がるのではないでしょうか。
One to Oneのコミュニケーションを成功させるためには、この行動をした人がどんな人なのか、なぜこういう行動をするのかを明らかにするために、もう一段階深堀りしたデータの使い方を薦めます。
店舗を使っている人なのかどうかは、ポイントカードなどで店舗とECが連携していれば分かります。仮に連携していなくてもアンケートを採って店舗とECの利用割合を聞くこともできます。
また、店舗とECをどう使い分けているかも、店舗とECで購入している商品を両方見て、商品の違いを見ることでわかるかもしれませんし、このようなこともまたアンケートから明らかにしていくことができます。
ひとつのデータからその人がどんな気持ちを持っているのかという仮説を立て、深堀りし、また検証するのを愚直に繰り返すことが、相手と近づく必要不可欠なことだと、私は思っています。
そして、データ連携などによって、これまでそれを勘や経験値などの定量化しにくいところからしかできなかった仮説立てそのものがしやすい時代になってきたので、益々お客様と近づける面白い時代になってきたなと思っています。
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