コラムバックナンバー
メールマガジン2014年1月15日号より 衣袋 宏美
どの程度の費用をウェブサイトの効果測定に掛けるのが適正なのでしょうか。あるいは、どのように金額の適正水準を判断すればよいのでしょうか。ウェブ解析に掛ける費用を売上の何%までとか制作費の何%が適正だといった基準は聞いたことがありません。
考えて見れば、事業におけるネットのウェイトが異なれば、掛ける費用も変わるのは当たり前なので、ネット専業のECサイトやメディアサイトと、普通の上場企業、中小企業のサイトを同列には語れません。
また分析のラーニングカーブという話をよくするのですが、ウェブ解析による劇的な改善が期待できるのは経験値が低い初期段階で、その後は経験値も上がってきますから、同じ手間暇をかけても徐々に改善効率は下がってきます。このようにサイトの成長ステージによっても費用対効果は異なりますので、一律に一般化するのは無理があります。
例えば複数の商品やサービスを提供している上場企業のサイトで、商品・サービス別にウェブサイト関連のマーケティング予算が割り振られている場合を考えてみます。この場合は、広告代理店がウェブサイトも作成し、集客施策も行い、その効果測定のためのウェブ解析も含めて一定の予算の中で総合的にサービスを提供していることが多いように感じます。内訳が明確にされていない場合は、ウェブ解析の費用としての適正水準は事業会社側はあまり気にしないかもしれません。
中小企業で、ある程度ウェブの重要度の高い場合はどうでしょう。この場合はウェブ制作会社がウェブサイトの制作に加えて、ウェブサイトの成果の検証としてウェブ解析のサービスを追加で行うことが多いのではないでしょうか。ウェブ解析のサービスを追加費用を頂く付加価値サービスとして提供するのか、制作費の中に含めてサービスの質で勝負するのかの差はあるかもしれませんが、どうしてもコストと見られてしまうので、そのコストに見合った効果が上げられるかを説明できるかどうかがポイントになりそうです。その期待値が適正水準に収れんしていくのでしょう。
最後にネット専業のECサイトやメディアサイトではどうでしょう。彼らはサイトが本業なので、僅かな改善が大きな売上として返ってくることがあります。競争も激しいので自動化したいという要望も強いはずです。ウェブ利用行動を反映したレコメンド機能や売上ランキングの表示などの機能の導入が当たり前ですし、最新の技術やツールを駆使してより効果の高いマーケティング活動にも意欲的だと感じます。
こちらの市場向けには、さらに高度なマーケティング・ツールの開発やコンサルティングのニーズが増えていくでしょう。そしてサービスを受ける側はそのためのお金が費用ではなく投資という性格に変わってきているように思います。こちらも結局は中長期の投資対効果で判断が下されると思いますが、積極的に使おうという流れにあるのではないでしょうか。
データ分析に使うお金が、削減できればした方がよい「費用」という性格でなく、前向きに使う「投資」という性格にどんどん変わっていって欲しいと思います。
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