コラムバックナンバー
メールマガジン2013年8月20日号より 石井 陽子
アクセス解析イニシアチブの会員の皆さまの中には、部署異動などにより、初めてWebマーケティングの業務に就いた、という方や、初めてデータ分析の業務に携わるようになった方も多いと認識しています。
これまで馴染みの無いことにチャレンジすることというのは、キャッチアップに時間もかかりますし、ときに抵抗すらあるものです。
このようなとき私は、これからチャレンジする業務を自分の生活や趣味などに置き換えてみることを心がけます。そうすると仕事の流れなどが具体的につかみやすくなり、楽しくさえ感じます。
ちなみに今回のコラムのテーマでもありますが、『データを上手く活用するコツ』は、『料理が上手くなるコツ』に非常によく似ていると思っています。
美味しい料理を作れるようになるコツ
1)材料選び
ここで言う材料はトマトやじゃがいもなどのこと。
データ活用における『材料』は、世の中にある『データ』と捉えます。お金や時間があれば、スーパーに買物に行き、材料(データ)を仕入れることはできますが、ときに時間が無いなどの理由により、冷蔵庫に残された材料で料理をしなければならないことがあります。企業のマーケティング活動でも、「冷蔵庫の中身でやりなさい」というようなパターンがあるのではないでしょうか?
その時重要なのは「この材料とこの材料を組み合わせると○○が作れそうだな?」「この材料はXXで味付けしたほうが良いかな?」というように、想像力を最大限に働かせること。自分が見たいことやアウトプットしたいと思う仮説に対し、どんな材料(データ)を組み合わせると良さそうかを考えることが重要です。材料だけを眺めていても材料自ら料理名は教えてくれません。
2)分量、火加減、調理時間などの『加減』
良い材料を使っても、調味料や水分などの分量をはじめ、調理時間や火加減など加工の過程が適切でないと、料理は台無しになってしまいます。
また厄介なのが、家庭で異なる調理環境や味付けの好み。レシピ本を見て作ったとしても味が薄いなどと家族からの心ない批判を受けたりすることも。そう、レシピ本はあくまで『目安』なのです。
これをマーケティングの世界に置き換えてみます。材料の加工は、施策の実施やレポート作成などのアウトプットの過程に近く、また個々で異なる環境や好みは、企業のマーケティング環境に似ています。
ではどうやって環境に合った『味』にするか。
そのコツはチューニングにあります。味見をしながら量や調理時間を調整していくと良いように、アウトプットの過程において試行錯誤は必ず存在するのです。つまりチューニングするための予算やスケジュール確保がとても重要で、同時にそれが大きな失敗を招かないコツでもあります。
3)見せ方
料理の盛り付け。これはレポートなどで周りの方を説得することと似ています。お皿の選び方や盛り付け次第で、美味しくも、また不味くも感じてしまうという重要な過程です。
お皿はグラフや表のチョイス、盛り付けはレポートのビジュアライゼーションの手法や、そこから得られるファインディングだと思ってもらうと良いかと思います。見せ方と伝え方次第で、食べる側が感じる評価が全然変わってしまうという点で、非常に重要なことだと思います。
4)繰り返し作ること
最初に作ったメニューはたいてい、もうちょっとこうすれば良かったかも、という課題が残りますが、1度だけ作っただけでは上達せず、忘れてしまうことすらあります。
料理が上手くなるには繰り返し作ること、つまりナレッジを貯めることがとても重要。『1回目はXXが少し固かった→2回目はXXの調理時間を伸ばして改善したが○○に味が染みこみ過ぎてしまった→3回目は○○の下ごしらえを変えてやったら美味しくなった』というように。
データ活用も同様でPDCAを回すこと、それから施策と結果をセットにして蓄積しておくこと。これができてやっと、データが活用できていると言えると思います。
いかがでしたでしょうか?
料理のコツってこれじゃ無いだろと突っ込まれるかもしれませんが、あくまで私個人的なコツとして読んでいただきつつ、これからデータ分析に携わろうとしている方にとって、データ分析自体が『離れ業』ではなく、むしろ身近なもので面白そうじゃないかと思って頂けたなら幸いです。
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