コラムバックナンバー
メールマガジン2013年8月6日号より 真摯 いちしま泰樹
アナリストは、インフォグラフィックの思考プロセスに大いに学ぶところがあると思います。
今年に入ってから、情報デザインやデータビジュアライゼーションについて改めて学ぼうと、いくつかの書籍を読んでいます。大学のゼミの先生が視覚シンボルの分野にいらっしゃったことや、私がWebデザインをやっていた頃に興味を持っていたこともあって、なじみはあるのですが、当時とは惹きつけられるポイントが異なります。
当時は手法や手段としての「表現」に関心を持っていました。いまいくつか書籍を読んでいると、その「思考プロセス」に私の仕事上の思考と近いものを感じます。コンサルタントやアナリストが必要としている「伝える力」が、インフォグラフィックの設計のアプローチにきっと潜んでいると感じるのです。
このあたりは、メールマガジン2013年6月18日号の石井さんのコラムと通じるものがあります。
分析するだけで終わっていませんか?「伝える力」の重要性
インフォグラフィックに必要な図解の制作フローの例を紹介してみます。
・その利用目的の確認
・情報の整理
- 情報収集
- 切り口の設定
- スリム化
・情報の整頓
- ラベリング
- 並び替え
- 構造化
・ストーリーテリング
・デザイン
書籍『たのしいインフォグラフィック入門』から引用しています。インフォグラフィックであれば、このようなフローで準備した図解を揃えた後、一枚絵としてビジュアルを整えていく作業に進みます。
この図解の制作フローは、私が提案資料や分析資料を作る際のフローの一部と非常に近いのです。
利用目的は、私の場合は「訴求」です。顧客様にビジネスを大きく動かしていただく必要があるので、伝えるメッセージに対して前のめりで「なるほど!」と思っていただかなくてはなりません。そのためには、メッセージは端的で強いものである必要があります。
このメルマガの読者によっては、目的が社内メンバーに対しての「理解」「記憶」という人もいらっしゃるでしょう。目的は異なりますが、そのためにはやはり「伝える力」が必要です。
「分析する力」と「伝える力」はまったく違います。分析は、それはそれで大変なステップを経るのですが、「伝える」という作業もステップを間違えたり省略してしまうと、冗長になったりつながりが途切れたりしてしまいます。
情報の正確性は担保しなくてはいけません。インフォグラフィックのマイナスポイントとして指摘されるのは、恣意的なストーリーや、データの読解不足や、誤解を招く表現などだと思います。そこは「分析者」として保証しつつも、「訴求」「理解」「記憶」のためにどうやってメッセージを伝えるか、手持ちの貴重な情報をいかにデザインするかという側面を、私たちはより強く意識しなければなりません。
インフォグラフィックの思考プロセスに、そのヒントがあると感じます。
話は少し変わります。
先日の2013年参議院選挙は史上初の「ネット選挙」でしたが、主要メディアのサイトではいつも以上に力を入れてリアルタイムで状況を反映していたように感じます。毎年、各社は専用サイトを起ち上げて趣向を凝らして臨んでいますが、今年興味を引いたのはNHKのサイトでした。
残念ながらすでにそのサイトは閉じられていて閲覧できないのですが、与野党の議席の各選挙区と比例区の内訳を、他サイトとは明らかに異なるような、インタラクティブでグラフィカルでチャレンジングな表現をしていました。
選挙結果の表現は、いわゆるインフォグラフィック的な表現が多いのですが、毎年そこに少しずつ進歩が見られます。「いかに正確に、端的に、わかりやすく伝えるか」は、情報過多な時代になるほど、求められています。数字を提示しておけばよい、というものではもはやありません。
アナリストもコンサルタントもウェブ担当者も、キーパーソンに「伝える力」が強く求められます。私たちも進化しなくてはいけません。
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