コラムバックナンバー
メールマガジン2013年4月30日号より a2i代表 大内 範行
TEDというすごいプレゼンばかりが集まったイベントがあります。ネットやNHKなどで取り上げられることが増え、ご存知の方も多いと思います。
そのTEDに、ロックスターのボノが13分のスピーチをしています。テーマは世界の貧困問題の改善について(紹介するリンク先には日本語訳もあります)。
ボノ:貧困についての良いニュース(そう、良いニュースもあるんだ)
ボノのスピーチは、人類が貧困を改善してきたその事実を、グラフとデータでわかりやすく見せる、というものでした。
「貧困は、人類の長い努力で、1990年からなんと半分になっているんだ。そして、2030年にはゼロになる!」
そう強調するボノの後ろにあるスクリーンには、2030年に向けて下がり続けるグラフが大きく表示されています。彼は自らをデータオタクだと宣言しています。
「ロックオペラやいつものトリックはやめて、今日はファクトという歌を歌うことにするよ」
ボノはそういって、ロックスターっぽいサングラスをはずし、逆さまにしてみせます。
ロックスターのボノがデータとグラフを駆使してプレゼンをする、というのは、新鮮な驚きがありました。改めて、僕らの時代は、データの時代なんだ、ということを実感します。
このボノのプレゼンは、TEDの人気スピーカー ハンス・ロスリングおじさまのプレゼンとよく似ています。1分で世界の変化をバブルチャートでグラフィカルに見せたハンスおじさまのプレゼンは、たくさんの人々に影響を与えてきました。まだご覧になっていない方はぜひご覧ください(ちなみにハンスの財団が開発したソフトは、Googleが買収し、Googleアナリティクスのバブルチャートとして使われています) 。
ハンス・ロスリングだけでなく、TEDには「データ」についてのプレゼンがいくつもあります。
これらのプレゼンを見て、僕自身が強く感じたことがあります。それは「データは存在するだけでは意味がない」ということです。実際にハンス・ロスリングや他のスピーカーも言っていますが、データは重要だ、しかし、データはそこにあるだけでは意味がなく、表現して人々の心に響かないと、実際には何も起きない、というのです。
TEDのような大きな舞台に限りません。日常のビジネスの中でも、データの見せ方の重要性は高まっています。
先日もウェブの改善に向けてデータを共有するミーティングに立ち会いました。とてもよいデータ分析をして、確実にポイントをついている、と思いましたが、共有したレポートには、エクセルの表が細かく並んでいる状態でした。そのせいか、ミーティングでは、説明する側と受け止める側に、気持ちのスレ違いが感じられました。もっと、わかりやすく、データを表現してみせていれば、おそらく響き方は、全然違ったものになっただろうな、と思いました。
ビッグデータや、データサイエンティストという言葉は、インターネット業界の流行語大賞になりそうな勢いがあります。難しい統計を駆使する人や、Hadoopという高度な魔法をあやつる技術者が、世界中で求められています。
しかし、統計の知識や、高度なプログラミングスキルだけが、求められているわけではありません。今後、本当に必要とされるスキルは、そのデータをわかりやすくチームやクライアントに響かせる力です。複数のツールから得られる複数のデータを、目的に合わせてまとめなおし、お客様やチームに対し印象的な画面を作り上げる。
曲作りや演奏のテクニックも重要ですが、最後にそれが人々の胸に届くためには、テクニックを超えた力を持った歌い手が必要です。
コード進行が同じでも、歌い手のまとめ方一つで、その響き方はまったく違ったものになるでしょう。
データが存在するだけでは意味がありません。あなたが、工夫してわかりやすく伝えること、そのことに意味があるのです。
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