コラムバックナンバー

今年4月に、IPA(情報処理推進機構)からデータサイエンス領域のスキル標準、タスクが発表されました。こちら”データサイエンス領域” の「タスク」には分析業務のタスク構造と工程が明示されています。ITSS+
 リンク下部の「データサイエンス領域」参照(Excelファイルが開きます)

分析プロジェクトの立ち上げと業務設計、データの作成・収集、加工処理、解析、可視化、評価と業務への組み込みの流れ、そして分析の業務においてはこれらの工程を繰り返す必要があることが説明されています。この工程について、私個人はきわめて重要なフローであると思っており、今回ご紹介させていただきました。

分析のためのツールや業務効率化のためのソリューション、それらのなかでもAIと謳うものは爆発的に増えました。先日のAI EXPOでも、単なる機械による自動化から、高度な予測・判別AI、分析ソリューションなど多くのプロダクトが紹介され活況でした。

そんなAIブーム最盛期である現在、私に相談として多いのが「データを分析ツールに入れたが良い結果が得られない」「AIやツールが出した結果をどのように解釈すればよいか分からない」というものです。

データ活用、AI時代に対応すべくツールを導入したは良いが活用しきれていないという課題です。そして、たいていの場合においては事前のデータ処理の工程に問題があります。基本的なデータの概要や関係性などの把握(単変量解析や二変量解析など)を経ることなく、データそのままをツール(AI的なものを含む。以下ツールと表記した場合は同じ)に入れてしまうと、期待する結果を得にくくなるのは当然です。

近年はそれらを考慮して生データの処理ツールも多くありますし、今後はそういったツールが増えてくることでしょう。しかし、その中にあっても、ある程度の意思決定は人が行うことは現状では不可欠です。

もう一方の「結果の解釈」については、AIやツールが出す予測や判別結果の評価指標がどのような値であるかを把握できれば解決します。ただし、そのためにはそれらのツールがどのようなロジックに基づいているかを理解する必要があります。多くのAIと謳う仕組みは、これらが不明瞭、ブラックボックス化されており「よくわからないがAIだからすごい」という印象を与えているように私は感じます。もちろんコア技術は開示しないというところが殆どであると思いますが、どのように評価するかを予め決めておくというのは、こういった仕組みに限らずビジネスにおいては基本ではないでしょうか。

第四次産業革命、AI時代に突入し、これからは「AI的なツールを使いこなせる人(データの力を活用出来る人)」とそうでない人とに分かれてくると思います。その過渡期にあって、望ましいデータ分析の工程 (=データドリブンな意思決定を行うための工程)を把握しておくことは不可欠であると私は思います。ITSS+、ぜひご参考いただければ幸いです。

★メールマガジンのバックナンバーはこちら

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

一つ前のページに戻る

a2i セミナー風景イメージ

あなたも参加しませんか?

「アナリティクス アソシエーション」は、アナリティクスに取り組む皆さまの活躍をサポートします。会員登録いただいた方には、セミナー・イベント情報や業界の関連ニュースをいち早くお届けしています。

セミナー・イベント予定

予定一覧へ

コラムバックナンバー

バックナンバー一覧へ