活動報告

開催日時 2018/04/18(水)
会場 東京 汐留

2018年4月18日、ベルサール汐留にてアナリティクスサミット2018が開催されました。「目指せ最強データ分析チーム」というテーマのもと、約7時間半にわたって8名の講演者にお話しいただきました。300名近い皆さまのご参加をいただき、ありがとうございました。

このアナリティクスサミット2018の模様をお送りいたします。

アナリティクスサミット2018「目指せ最強データ分析チーム」
主催:アナリティクス アソシエーション(a2i)
協力:株式会社インプレス、Web担当者Forum
日時:2018年4月18日(水) 10:00~17:30
場所:ベルサール汐留

「日本企業においてデータ分析チームを花形組織にする」

滋賀大学 河本 薫 氏

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冒頭の基調講演では、元大阪ガスのビジネスアナリシスセンター所長で、現在は滋賀大学のデータサイエンス学部教授の河本氏から、日本企業でデータ分析チームを花形組織にしていくために越えなければならない壁と乗り越え方をお話しいただきました。

在籍していた大阪ガスのビジネスアナリシスセンターを例に、データ分析専門組織がなぜむずかしいのかから切り出します。他業界の専門分野の分析チームと比べ、一般企業のデータ分析チームは、存在の必然性がなく、分業制もなく、専門性も弱くなります。その中で大阪ガスのデータ分析チームは、「事業部と協業」「経営に貢献」「メンバー育成」の3つの努力をしたと言います。

単なるデータ分析ではビジネスを変えられないため、「スポンサーシップ制度」として事業部から予算をいただくなど「協業」の形を取り、その中で分析者がビジネスの課題発見から事業部に使わせるまでを担うようにします。河本氏は、見つける力と解く力、使わせる力を備えたこのような分析者を「フォワード型データ分析者」と呼び、1年目からプロジェクトの主担当を担わせるなど、育成にも力を注ぎました。

加えて、会社のあらゆる部門に社内営業をかけたり、取り組みテーマを経営者視点で選んだり、社外での知名度を高めたりといった、経営貢献への地道な取り組みも紹介しました。

現場の事業部に対する敬意や謙虚さ、プレゼンテーションでの意識の持ち方といった無形の蓄積も重ねた18年間だったとし、我々データ分析者は便利屋でも専門家でもなくビジネスパートナーである、という強いメッセージを投げかけました。

リアルタイムで寄せられた会場からの質問にも章ごとで回答し、人柄と姿勢がにじみ出る非常に濃い内容の基調講演でした。

「リクルート流デジタルマーケター組織のチャレンジ2018」「リクルートジョブズ流SEO組織のチャレンジ」

株式会社リクルートホールディングス 塩見 直輔 氏
株式会社リクルートホールディングス 佐々木 敦史 氏

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塩見 直輔 氏

リクルートホールディングスからは、まずは塩見氏からデジタルマーケター組織の理想に向けた取り組みをお話しいただきました。

リクルートは多彩で巨大な数十ものWebサイトを抱え、100名を超えるデジタルマーケターがいます。ITカンパニーになるべく2012年に分社化し、グループとして速い成長を進めていました。しかし、これまでの隣の部署が競合他社になり、ノウハウ共有や人材流通、採用面で弊害が出てきます。デジタルマーケターにとっては、戦略戦術がまったく異なるグループ内の他サービスの内情がわからなくなり、情報の断絶が起きてしまいました。

そこで各企業を横断する組織「ネットマーケティング推進室」を2016年に発足させます。狙いは、分社化した事業軸組織と職種役割での機能軸組織の、それぞれのメリットを使い分けられるよう、分社化を無視する形で個に投資をして、デジタルマーケターの力を引き出すことでした。

レポートラインを複線化し、人材評価面でも専門性とビジネス貢献の各役割を理解した優秀なメンバーを積極的に評価することで事業コミットを促進、ハイブリッド組織の悪影響を仕組みでカバーしていきました。やりたいことを最優先として配属し、キャリアパスも事業軸と機能軸の両方に選択肢を与えるなど多様化させ、柔軟なキャリアパスを提供するまでに至ります。

大きな企業グループ内のデジタルマーケター組織の一つのあり方として、人材と情報の流通、個の力の最大化、事業軸と機能軸を行き来するキャリアパスなどを確保しつつ、専門性とビジネス貢献の両輪を回す様子が語られたセッションでした。

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佐々木 敦史 氏

続いて佐々木氏から、リクルートジョブズにおけるSEO組織の取り組みをお話しいただきました。

リクルートジョブズでは、Google検索の進化へのより速い順応や、担当者単独ではなく組織として施策を進めたいといった背景から、データ分析活用を組織として推し進めるに至りました。

モニタリング基盤を整備し、Googleの変化に対する対処の迅速化やこれまで取り組めなかった施策展開、それらのネットマーケティング推進室での横展開といった取り組みにつなげられたとのこと。運用人材が限定的でアナログ対応がまだ残っていたり、分析スキルが弱かったりといった課題はありつつも、自動化への着手や勉強会といった取り組みを進めているとのことです。

佐々木氏個人としてのキャリアチャレンジも紹介しつつ、新しいものを早くつかみ、仮説を考え抜き、多数並行で効率的にチャレンジせよというリクルートの考え方を、組織としても個人としても実践している様子がうかがえました。

「DMPをQuickに作るには?事例を交えたDMP構築ポイントのご紹介」

アユダンテ株式会社 加藤 賢之 氏

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(スポンサーセッション)

「BUSINESS INTELLIGENCE in Mercari」

株式会社メルカリ 樫田 光 氏

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メルカリの樫田氏からは、分析部門「BIチーム」の組織体制と運営方針、採用戦略などについてお話しいただきました。

メルカリの分析部門は「意志決定力のMAX化」をチームミッションに掲げています。世界3大革命になぞらえて、羅針盤のごとく組織が進むべき意志決定力重視の方向性を示し、活版印刷のごとく情報と知識の民主化を進め、戦い方を変えた火薬のごとく機械学習施策の推進に努めていることを紹介しました。

分析は、方針を決めるPlanのフェーズ、施策結果の計測とそこからの改善のCheck & Actionのフェーズと、意志決定を必要とする場面が多くなります。そのために、分析部門は組織上では横断的組織として存在しつつも、スピードやドメイン知識、一体感を優先させて、より事業部に紐付く形で稼働しているそうです。

そのためアナリストも、課題発見から解決方法提示までの分析フローを一人で垂直統合的に完結できることが求められます。「勇者型アナリスト」と表現し、すべてのステップをこなせる人材として評価しているとのこと。

分析部門を運営する上での哲学や実情、課題などをオープンに提示する姿勢が強く感じられた樫田氏のセッションでした。

「やるべきことが分かる!現場から転換するカスタマードリブン・マーケティング」

株式会社ビービット 生田 啓 氏

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(スポンサーブリーフィングセッション)

「TSUTAYA 1to1マーケティングの推進 ~データと愛と魔法と~」

株式会社TSUTAYA 大畠 崇央 氏

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TSUTAYAの大畠氏からは、TSUTAYAのデータ分析チームが1to1でのユーザー体験をデータからどう作っているのか、新しい取り組みなどをお話しいただきました。

TSUTAYA店舗とネットデータの中核部隊である「サービス基盤推進」のチームは、4年前に発足しました。組織を横断する横串データの必要性と、データからの改善を普通にすることが役割でした。

当時のこの役割は、お客様への1to1レコメンドを前提とするものの、アクセス解析、UXワークショップなどの組織内普及や統合DB構築など、事業向けの施策が中心です。しかし、月日の経過に伴う組織の変化やメンバーの異動、減少もあって、チームは役割の再構築を迫られます。

店舗やタッチポイントとしてのTSUTAYAの価値を再考したとき、顧客ごとに動向を見ながらの「提案」という新しい価値提供が必要なのではないか、それに向けた分析チームに求められる役割は「顧客に提案する」ではないか、事業向けの施策からお客様向け施策への転換に着手します。

「何を、いつ、誰に」というレコメンドは運営都合です。これを「誰に、いつ、何を」の顧客視点に向かわせるために、AIの力を借りて、閲覧履歴、購買履歴に続く第3の履歴「感情の履歴」を作成できないか、新たなチャレンジをしている様子が紹介されました。

観客の隣の人同士で見たい映画を当てるゲームをさせたり、壇上で手品を披露したり、スマートスピーカーAlexaを使って擬似的なデモを行ったりと、プレゼンテーションの演出や観客の巻き込みを含めて、会場を大いに沸かせた大畠氏のセッションでした。

「一瞬も一生も美しく」 資生堂ワタシプラスとデータ統合の実践と課題

資生堂ジャパン株式会社 吉本 健二 氏

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資生堂ジャパンの吉本氏からは、資生堂のWebサービス「ワタシプラス」のDMP構築を、組織としても十分な技術人材、分析人材がいない中でどう進めたのか、ビジネス活用にどうつなげているのかをお話しいただきました。

創業以来One to Oneを意識して取り組んできた資生堂が、2012年にリリースしたデジタルプラットフォーム「ワタシプラス」。店頭会員とWeb会員を統合し、より多くの会員獲得と効果測定を実現できるようになった一方で、まだ「近視眼的な成果」の時代だったと言います。メールの効果が可視化されるに従い、各部署でメール施策が多く実施され、結果としてメールの大量配信から効果の減少や退会といった逆効果が出るようになりました。

その反省から「効率」の時代になります。メールの大量配信を見直して整理統合を進め、メール配信の運用を大きく変えることで、退会者数の減少を食い止めるに至ります。その一方でECの売上に変化が見られなかったため、シナリオのさまざまなテストやMAツール導入など、攻めの取り組みに転じます。

しかし、シナリオを整備したものの、ECの売上目標には至りません。効率を重視するあまり、メールの配信ボリュームが足りなかったためです。そこでワタシプラスは、ミッションをEC売上や店頭送客から「ブランド支援」へと変更、「顧客中心」の時代に移ります。EC誘導が目的のシナリオは企業側の押しつけだったのではという反省から、お客様とともに一緒に成長していくCRMを目指すようになりました。

2016年からは、コーポレートメッセージである「一瞬も一生も美しく」を引き合いに出し、お客様のモーメントを捉えて適切なメッセージを届けること、そして一生を理解して好みを管理することを、新しい基準として設けます。いまの行動ログと過去の行動ログからモーメントを捉え、リアルタイムでメッセージを配信できる仕組みを整え、行動ログの分析から好みを管理、さらに機械学習で将来の興味を予測する、といった取り組みを紹介しました。

ワタシプラスのこれまでの経緯とお客様への向き合い方の変化から、コーポレートメッセージと同じ方針に帰着するまでの様子が、具体的な施策とともに紹介されたセッションでした。

出演講師

河本 薫

滋賀大学データサイエンス学部教授 兼 データサイエンス教育研究センタ ー副センター長 (元大阪ガス ビジネスアナリシスセンター所長)

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塩見 直輔

株式会社リクルートホールディングス
ネットマーケティング推進室室長

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加藤 賢之

アユダンテ株式会社
デジタルマーケティングエンジニアリングチーム データビジュアライゼーションコンサルタント

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樫田 光

株式会社メルカリ
データアナリスト / マネージャ

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生田 啓

株式会社ビービット
エクスペリエンスデザイン支援事業部 アカウント・エグゼクティブ

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大畠 崇央

株式会社TSUTAYA
UX・MDカンパニー サービス基盤推進ユニット ユニット長

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