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活動報告
2014年5月21日、ベルサール汐留にて「アナリティクスサミット2014」が開催されました。当協議会が「アナリティクス アソシエーション」へと名称変更となり、これまで毎年開催していた「アクセス解析サミット」も「アナリティクスサミット」となって初めての開催となりました。テーマは「アクセス解析からアナリティクスへ」、7時間にわたって合計10名の講演者にご登壇いただきました。
あいにくの雨の中でしたが、約300名の参加をいただき、ありがとうございました。このアナリティクスサミット2014の模様を、前編、後編に分けてお送りいたします。前編は、大阪ガス河本氏、アドビシステムズ清水氏、日本マイクロソフト斎藤氏の各講演です(後編はこちら)。
アナリティクスサミット2014「アクセス解析からアナリティクスへ」
主催:アクセス解析イニシアチブ(アナリティクス アソシエーション)
協力:株式会社インプレスビジネスメディア、Web担当者Forum
日時:2014年5月21日(水) 10:30~17:30
場所:ベルサール汐留
アナリティクス アソシエーション 代表 大内範行
オープニングは、アナリティクス アソシエーションの代表大内より、名称変更の経緯についての挨拶でした。冒頭で、サッカー日本代表選考の話題から「サッカーとデータ分析」について触れます。「ゴール数」といった単純な指標だけでなく、質の高いパスの数値化やチャンスを作る力の分析など、データ分析から少し縁遠いと思われているサッカーでも、データ分析が進んでいることを紹介します。
アクセス解析イニシアチブを設立した頃に比べてデータの分析に関わる方々が増え、寄せられる相談に変化が出てきた、と大内は言います。社内外でどう組織作りを進めればよいか、どう組織を改善に向けて動かせばよいか、顧客をより知るにはなど、より大きな取り組みの内容が増えました。それら新たな課題をサポートし、「アナリティクスはあなたをビジネスのキーマンにする」というテーマを掲げて、アナリティクス アソシエーションに名称変更して活動していくと、挨拶しました。
大阪ガス株式会社 河本薫氏
午前の基調講演は、大阪ガス株式会社の情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長、河本薫氏によるものでした。
最初の話題は、データ分析の領域にある3つの勘違いについてでした。1つ目の勘違いは、分析の価値に対するもの。データ量や分析手法に目が向きがちですが、分析の価値はそこではなく、意志決定への寄与度と意志決定の重要性であるとします。2つ目は、ビジネス課題や意志決定は分析者の仕事ではないという勘違い。ビジネス課題の中にこそ、分析で役立てるチャンスがあると説きます。3つ目は「KKD(経験と勘と度胸)」に対する勘違い。「データ分析 and KKD」であるとし、経験と勘と度胸を侮ってはいけないと指摘します。
続けて、データ分析でビジネスを変えた自社の例を挙げ、分析だけを担当するバックオフィス型ではなく、「フォワード型分析者」こそがビジネスを変え、彼らを育てなければならない、と言います。フォワード型の分析者は、「見つける力(問題発見力)」「解く力(分析力)」「使わせる力(実行力)」の3つの力を備えます。ビジネス課題を理解して現場とのコミュニケーションを積極的に取り、そこへの洞察から仮説を立てて分析し、現場の人にいかに分析結果を使ってもらえるか、その3つの力を備えてはじめて、データ分析がビジネスを変える、とします。「課題発見にはビジネス現場とのコミュニケーション力」「解く鍵は現場にある」など、力強い言葉が続きました。
また、「企業内分析専門家として生きていく術」として、分析担当者の社内での役回りも指南しました。「分析問題を解く人」「便利屋」としてではなく、ビジネス課題を解決するパートナーとして現場からの信頼を得よ、積極的に経営陣にPRせよ、など、社内で河本氏が実践してきた具体的な話は、企業内で分析に取り組む方々にはとても参考になったのではないでしょうか。
最後に、「分析力を武器とする現場力こそ日本企業の競争力になる」という熱い言葉で、講演を締めくくりました。
アドビシステムズ株式会社 清水誠氏
アドビシステムズの清水誠氏からは、「アクセス解析」から「アナリティクス」へという名称変更の背景を、海外のビジネス事情や、自身のここ数年の海外での生活で得られたものなどから引用し、これから私たちがどう向き合い、取り組めばよいのかを投げかけました。
アメリカでは、2012年に「WAA (Web Analytics Association)」が「DAA (Digital Analytics Association)」に改称し、アクセス解析イニシアチブでもその頃から改めて本格的な議論になったという経緯を紹介。ただ、その改称には、背景となる生活の変化やそれを分析する側の意識や範囲といった実態が伴わなければならない、と説明します。
そこから、清水氏がこの数年のアメリカ生活で実際に利用したさまざまなサービスを紹介します。飛行機の手配から搭乗、家探しから車の手配、給油、駐車場、音楽や動画、ヘアサロン、スキー、等々。生活の中でデジタルやデータが多く入り込み、デジタルと生活の境目がわからない状況を紹介した上で、それらのデータを扱うアナリティクスツールも当然普及していると説明。統計機能やクロス集計、エクセル連携などを備えたツールを扱い、複数のデータを統合分析する企業の方が、ビジネスとしても高い成果を出す傾向があるというアメリカでの報告も紹介します。
変化しつつある生活やそれに付随するデータ分析ツールの進化を踏まえつつ、自分たちや自社はどう取り組むのか、そのデータをどうしたいのか、自分事で考え、語らなければならないとし、今後のデータへの主体的な対峙の必要性を説きました。
日本マイクロソフト株式会社 斎藤泰行氏
ランチセッションでは、日本マイクロソフトの斎藤氏から、私たちの多くが利用しているExcelについて、その最新バージョンでのより発展した活用方法を紹介いただきました。
「ビッグデータを10億人に届ける」というキーメッセージとともに、いま日本マイクロソフトは最新のExcelとその拡張である「Power BI」を展開、私たちがこれまで使い慣れたソフトでより高度な分析が予想以上に容易に取り組める、と紹介します。
Power Queryで社内やWebデータを収集変換し、Power Pivotで管理、Power ViewでExcelデータをそのままパワーポイント化してしまうという流れを、よどみのないライブデモで実演。冒頭での斎藤氏の「あなたの知らないExcelをご覧に入れます」という言葉のとおり、最初はランチをいただきながら気軽に見ていた参加者も、後半には前のめりになってスクリーンを食い入るように見つめているのが印象的でした。参加者が予想していた以上にExcelが進化し、分析者の実務を一変してくれるだろうという大きな期待と驚きのあったセッションでした。
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