コラムバックナンバー
メールマガジン2017年2月15日号より a2i代表 大内 範行
コラムを書く時、題材を探すのに苦労することがあります。そんな時は正直、少し憂鬱になります。今回のコラムはデータビジュアライゼーションについて書こうか、と通勤電車の中で考えながら、ネットを検索していたりします。
2017年はデータビジュアライゼーションのツールが少し賑やかになりそうです。そう思う一方で、どのツールを選ぶか、という点は本質的な話ではない、などと考え始めます。
電車の中で「そういえばTEDのプレゼンにも幾つか、データビジュアライゼーションのいい材料があったな」などとぼんやりと考えはじめます。よい考えが浮かばないので、ニュースをチェックして、そこで「ハンス・ロスリングが亡くなった」という短い記事を目にします。それが先週のことでした。ハンス・ロスリングはスウェーデンの医師で科学者ですが、データビジュアライズのロックスターでもあります。
そうか亡くなったのか、と思いながら、少しだけ自分の中に空白ができた感じです。
なぜかその時は、自分が考えているデータビジュアライゼーションというテーマと、ハンス・ロスリングがまったく結びつきません。
週末になって家でくつろいでいる時に、息子の顔を見て「そう言えばハンス・ロスリングが亡くなったよ」と伝えます。ハンス・ロスリングの「最高の統計を披露」というTEDのプレゼンを見て、興奮して息子に話したり、一緒にそのビデオを見たんだな、と思い出しながら。それは5~6年前の出来事でした。
「そうなんだ」と息子は少し遠くを見て黙ったままでいます。
またコラムのことを考えはじめます。でも、うまくコラムの道筋がまとまりません。
そして突然「ああそうかハンス・ロスリング!」と思います。そこから頭の中で彼のプレゼンが蘇り、どんどんと再生されていきます。彼のビデオの記憶で、頭が一杯になっていきます。
先進国と発展途上国について、世帯あたりの子供の数と平均余命を軸にしたデータがバブルチャートで展開されていきます。60年代から2000年代まで、アニメーションでチャートが動いていきます。スクリーン一杯にしがみつくようにして、実況中継のように情熱的に語っていく、そんな彼の姿が頭の中に次々に再生されていきます。
ビル・ゲイツと彼の奥さんのメリンダ・ゲイツがハンス・ロスリングについて短い思い出を書いていました。
その中で、ビルがハンスから手紙をもらっていたこと、その手紙の中にハンスが癌だと告白していたことが触れられています。ハンスは「お願いがあるのです」と書いていました。それは決して個人的なお願いではありませんでした、とビルは続けます。
これまで情熱を注いできた彼のメッセージを、私たちに広げてほしいと。
「世界は進歩しているのだから、その政策決定はデータに基づいて行われるべきです」
” He simply hoped that we would promise to keep spreading the message he was so passionate about: that the world is making progress, and that policy decisions should be grounded in data. ”
そしてもう一度、彼のTEDのプレゼンを見直します。
私たちの先入観や思い込みを、データが打ち砕いていく痛快さ、そして圧倒的な幸福感、それ以外も言葉にならない感情が湧き上がってきました。
「まいったな」とその時に思いました。そして「本当にありがとう」と。
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